【質問】
祖父が亡くなりました。祖父が所有していた不動産(土地)の名義を、孫である私の名義に直接変更することはできますか?

なお、私の父(祖父の子)は健在です。けれども、父には持ち家がありますし、私が祖父の土地を相続して家を建てるのが良いとの話になったのです。


【回答】
ご質問のケースでは、お父様が法定相続人となります。被相続人に相続人である子がいる場合、孫は相続人となりません。また、相続を原因とする名義変更(所有権移転登記)ができるのは、法定相続人に対してのみです。

したがって、祖父から孫へ、不動産(土地)の名義を相続によって、直接変更することはできません

どうしてもご相談者(孫)の名義にしたいのであれば、いったん相続人であるお父様の名義にした後に、お父様から生前贈与を受けるしかありません。この場合には、「相続」と「贈与」の2回の登記が必要となりますから、相続によって一度に名義を変更するよりも費用がかかります。

また、父から子への贈与については相続と関係ありませんから、贈与税などの税金についての検討も必要です。ただし、相続によって祖父から父へ名義変更した後、60歳以上の父から20歳以上の子に贈与するのであれば、相続時精算課税を選択することで贈与税を支払わないで済むこともあります。

なお、ご質問のケースとは別ですが、お父様がお祖父様よりも先に亡くなられていたとしたら、孫であるご相談者がお父様に代わって相続人となります。このことを代襲相続といいます。

遺言書があれば、祖父から孫に名義変更できます

ご質問のような相続関係であっても、お祖父様が生前に遺言書の作成をしておいた場合には、祖父から孫に直接名義変更が可能なことがあります。

具体的には、祖父が生前に遺言書を作成し、「遺言者は、遺言者の有する後記不動産を、孫であるA(平成○年○月○日生)に遺贈する」というような内容の遺言をします。こうしておくことで、「遺贈」により祖父から孫に不動産(土地)の名義を直接変更することが可能となります。

ただし、遺贈登記では、相続による場合(相続登記)と比べて、登記にかかる税金(登録免許税)が高くなります。相続の場合には土地の固定資産評価額の0.4%なのが、遺贈では2%となるのです。土地の固定資産評価額が1000万円だとすれば、相続が4万円なのが遺贈では20万円になるわけです。

また、遺贈では不動産取得税もかかりますし(包括遺贈の場合を除く)、他にも相続税の申告にあたって検討すべきこともあります(孫への遺贈では、相続税額に2割が加算されるなど)。

したがって、遺贈によれば祖父から孫に、不動産(土地)の名義を直接変更することはできるのですが、相続の場合と異なる点があるのでよく検討することが必要だといえます。