区分建物(マンション)の敷地は所有権である場合が大多数ですが、敷地が地上権である区分建物も存在します。

敷地が地上権であっても、敷地権付の区分建物(敷地権化されている区分建物)である場合には、相続による所有権移転登記をするのにあたって、敷地が所有権である場合とそれほど違いはありません。

しかし、敷地権の登記がされていない区分建物であり、その敷地が地上権である場合、建物だけでなく敷地についての登記も別にする必要があります(建物については所有権移転登記、敷地については地上権移転登記)。

今回のような、敷地権付きでない区分建物で、その敷地が地上権である場合の相続登記は、私自身もあまり経験がなかったので、どのような登記手続きをすべきか備忘録的に記します。

実際に登記申請をおこない、補正無しに登記が完了していますが、参考にする場合はあくまでも自己責任でお願いします。また、たとえこのページを参考にしても、司法書士以外の方が自分で登記申請をするのは困難だと思われますので、同様の登記が必要である場合には司法書士に依頼するようにしてください。

千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)への相続登記のご相談については、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧になって事前にご連絡くださいますようお願いいたします。

1.地上権移転登記

敷地である土地についての、相続を原因とする地上権移転登記です。

登記の目的 ○番地上権○○持分全部移転登記
原因 令和○年○月○日相続
相続人 (被相続人 ○○)
    持分○○○○○分の○○○
    千葉県松戸市松戸○番地 市川一郎

登記の目的は「○番地上権○○持分全部移転登記」としました。「○○持分」のところには、被相続人の氏名が入ります。

その他は、土地の所有権移転登記の場合ととくに違いはありませんが、地上権移転の場合には、登録免許税の税率が1,000分の2となります。

そして、地上権移転登記に続いて、建物についての所有権移転登記を連件で登記申請しています。

相続を原因とする地上権移転の登記のみであれば、「登記の目的」をどうするかなど少し頭を悩ませたものの、とくに難しいことはありません。

今回もう少し悩んだのは、建物が被相続人と相続人の共有になっていたため、上記の移転登記の前に登記名義人住所変更の登記もする必要があったからです。

2.地上権登記名義人住所変更

敷地と建物についての相続登記に先だって申請した、地上権登記名義人住所変更の登記です。

登記の目的 ○番地上権登記名義人住所変更
原因 令和○年○月○日住所移転
変更後の事項 地上権者○○の住所 千葉県松戸市松戸○番地
申請人 千葉県松戸市松戸○番地 市川一郎

この地上権登記名義人住所変更に続いて、建物についての所有権登記名義人住所変更の登記をしています。

敷地と建物についての登記名義人住所変更の登記を一括申請できないかとも考えましたが、登記の目的が異なるため一件ずつ申請すべきと判断しました。仮に一括申請が可能であったとしても、登録免許税の額も変わりませんから、原則どおりに登記申請することで何も問題ないわけです。

ここまでで、次のとおり4件の登記申請が必要となります。

1.○番地上権登記名義人住所変更
2.○番所有権登記名義人住所変更
3.○番地上権○○持分全部移転
4.○○持分全部移転

なお、実際に登記手続きをした際には、複数の共有者についての住所変更登記が必要であり、さらに抵当権抹消登記の申請もおこなったため、もっと申請件数は多くなっています。

それでも、あらためて整理してみるととくに難しいことはないのですが、普段は見かけないような登記申請をする際には、しっかりと事前調査などしつつ手続きを進めていく必要があります。

千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)では相続登記のご相談ご依頼をうけたまわっています。当事務所への相談をご検討の際は、相続登記のページもぜひご覧ください。