取締役が2名の有限会社で、そのうちの1名が代表取締役になっている場合に、代表取締役の変更登記をおこなおうとするときには、その会社の代表取締役の選任方法がどうなっているかに注意します。

特例有限会社の役員の変更登記については、一律にパターン化して解説するのはなかなか難しく、実際に司法書士であっても頭を悩ませることがあります。したがって、代表取締役が変更になるときの登記手続きなどは、司法書士に相談・依頼することをお勧めします。

今回は一例として、取締役が2名の有限会社で代表取締役が死亡した場合の登記手続きなどについて簡単に解説します。

有限会社の代表取締役が死亡したときの登記
1.取締役が2名の有限会社で代表取締役が死亡
2.死亡による退任の登記のみが出来ない場合

1.取締役が2名の有限会社で代表取締役が死亡

この有限会社の定款には「当会社の取締役は3名以内とする。」、また「当会社に取締役2名以上いるときは代表取締役1名を置き、取締役の互選によって定めるものとする。」というような規定があるものとします。

この場合に、代表取締役が死亡した場合の登記については次のパターンが考えられます。

  1. 後任者を選任することなく、残された1人の取締役から、代表取締役たる取締役の死亡による退任の変更登記をおこなう。
  2. 後任の取締役と代表取締役を選任したうえで、後任の代表取締役から、前任者の死亡による退任の変更登記と、後任の取締役および代表取締役の就任による変更登記をおこなう。

上記のうちから、後任の取締役を選任しなかったときには、取締役及び代表取締役の死亡による退任の登記をするのみであり、「登記すべき事項」は次のとおりとなります。


役員に関する事項」
「資格」取締役
「住所」千葉県松戸市松戸○○番地の○
「氏名」○○○○
「原因年月日」平成○○年○○月○○日死亡
「役員に関する事項」
「資格」代表取締役
「氏名」○○○○
「原因年月日」平成○○年○○月○○日死亡

登記の添付書類となるのは、死亡を証する書面としての死亡届または除籍謄本などのほかに、定款の添付も必要です。

定款は全文についてのコピーを取り、末尾に原本と相違ない旨を記載し、会社を代表する取締役が会社実印(登記所届出印)で押印します。

本件の場合でいえば、残された1名の取締役がその後の「会社を代表する取締役」なるわけですから、定款への押印もその取締役の名前によりおこないます。また、この登記をおこなう際には「印鑑届出書」も同時に提出する必要があります。

そして、登記が完了することで、取締役1名のみの有限会社となります。特例有限会社では、取締役が1人のみの場合には「代表取締役」の登記はされません。

したがって、「取締役」、「代表取締役」の死亡の登記がされるのみであり、残された1人の取締役については何の登記もおこなわれないのです。

2.死亡による退任の登記のみが出来ない場合

ここまで解説したように死亡による退任の登記のみがおこなえるのは、「取締役の定数が1人」であり、さらに「取締役の互選により選任された代表取締役」であったからです。これに当てはまらない場合には、死亡による退任の登記のみをすることはできません。

たとえば、定款で「当会社の取締役は2名とする」と定められていたとすれば、1人が死亡したことにより取締役の定数を欠くことになります。そこで、後任の取締役を選任したうえで、その就任の登記をあわせてする必要があります。

また、代表取締役が取締役の互選により選任されたのではなく、「定款または株主総会の決議により定められている」場合には、代表取締役が死亡により欠けたとしても、自動的に残された取締役が代表権を取得することはありません。株主総会の決議などにより後任の代表取締役を選任する必要があるわけです。

有限会社の場合には、会社設立時に定款で代表取締役を定めているというケースもあるでしょう。そして、一度も代表取締役を変更することなしに現在に至っているということもあるはずです。このような場合で、取締役2名のうち代表取締役である取締役が死亡したときには、後任の取締役を置かないとしてもただ死亡を証する書面を添付して退任の登記をすれば済むということにはならないのです。