自己破産での同時廃止の基準
自己破産の手続きについて、千葉地方裁判所による申立人に対する説明書では次のように説明しています。
破産手続は,債務者の財産をお金に換えて,債権者に分配する手続です。手続は,概ね次のように進行します。
- 裁判所が,申立人がその財産や収入だけでは借金の全額を支払うことができない状態にあると認めると,財産の管理や処分を行う破産管財人を選任します。
- 破産管財人が,申立人の財産状況を調査し,財産を売却するなどして金銭に換えます。
- 破産管財人が,これを債権者の債権額に応じて公平に分配します。
残った借金の支払を免除して,申立人の生活を再建するための手続が免責手続です。
破産手続は上記のとおりであるのが原則ですが、「特に価値がある財産を持っておらず、破産管財人の選任が必要ない人の場合」などは破産管財人が選任されないこともあります。
実際、サラリーマンなどの給与所得者の自己破産手続では、破産管財人が選任されないのが通常だと言ってもいいでしょう(個人事業主、会社経営者などでは管財事件になるのが原則です)。
破産管財人が選任されない破産手続のことを、「同時廃止」事件といいます。同時廃止事件では、裁判所は次のような決定をします。
1 債務は○○○○につき,破産手続を開始する。
2 本件破産手続を廃止する。
破産手続を開始するのに続けて、その破産手続を廃止しています。つまり、破産手続はおこなわれないということなので、破産管財人の選任もされないわけです。
同時廃止の手続きでは裁判所費用は1万3千円程度です(千葉地方裁判所の場合)。これが、破産管財人が選任される管財事件の場合には、破産管財人の費用として50万円(通常管財の場合)程度が必要となります。
当事務所では、個人の自己破産申立の司法書士報酬は通常216,000円です。同時廃止事件であれば、裁判所費用は13,000円程度ですから、総額でも230,000円程度で済むことになります。
これが、管財事件になると50万円程度の費用が追加でかかるわけですから、同時廃止になるか管財事件になるかは非常に大きな違いといえます。
同時廃止と管財事件の基準
それでは、同時廃止となるかの基準である、「特に価値がある財産を持っている」かどうかはどのように決まってくるのでしょうか。
2017年11月1日以降、千葉地方裁判所管内での基準は次のとおりです。
まず、現金については、33万円以上の現金がある場合(直前に現金化されたものを含む)には管財事件となるのが原則です。現金以外の財産(預貯金、保険の解約返戻金、自動車、退職金請求権など)については、その項目ごとに合算した財産の額が20万円以上の場合に原則として管財事件となります。
たとえば、現金が35万円だと管財事件になりますが、現金30万円と保険解約返戻金が15万円ならば同時廃止となるわけです。財産の総額は後者の方が多くても、上記の基準により同時廃止と管財事件の振り分けがされているのです。
ただし、上記の説明文書には『特に価値がある財産を持っていない人でも、使途不明の借入金や不自然な支出がある場合など、破産に至る経緯が明らかでないときには,破産管財人を選任して,財産の調査等を行わなければならないこともあります』というように書かれています。単に財産の額だけで決まるということでは無いわけです。
また、現金以外の財産の額が20万円以上である場合であっても、管財事件にならないこともあるようです。当事務所で書類作成をしたケースで、財産目録に20万円を超える評価額の記載をしていたのに同時廃止になったことがありました。
しかし、上記のケースでは管財事件になってもやむを得ないとの判断のもとに申立をしたところが同時廃止となったものであり、基準額を上回っているときは当然に管財事件になると考えておくべきでしょう。
同時廃止になるか否かは、自己破産申立を検討するにあたって重要な選択基準となります。管財事件になるのが明らかなときには、個人版民事再生を選択した方が良いというような場合もあるでしょう。
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