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相続登記で、相続人の本籍と住所が違う場合の必要書類
(最終更新日:2021/10/27)
相続登記の申請をする際、戸籍謄本による相続人の本籍と、遺産分割協議書に記載した相続人の住所とが異なる場合、相続人の同一性を証明するために、住民票(本籍の記載入り)または戸籍の附票の添付が必要か。
上記の場合でも、戸籍謄本による相続人の氏名及び生年月日と、遺産分割協議書に添付の印鑑証明書に記載の相続人の氏名及び生年月日とが同一であるときは、その同一性を確認することができるものとして、住民票(本籍の記載入り)などの提出は不要。
相続による所有権移転登記申請について、戸籍謄本による相続人の本籍と遺産分割協議書または民法第903条の規定による特別受益の証明書に記載した相続人の住所とが異なる場合、戸籍謄本による相続人の氏名及び生年月日と遺産分割協議書または特別受益証明書に添付の印鑑証明書に記載の相続人の氏名及び生年月日とが同一であるときは、その同一性を確認することができるものとして、別にこれを証する書面として住民票抄本または戸籍の附票の写しを提出することを要しない(昭和43年3月28日付民事三発第114号民事局第三課長回答)。
印鑑証明書に記載されているのは住所と氏名のみであり、本籍は記載されていません。また、戸籍謄本に記載されているのは本籍と氏名のみであり、住所は記載されていません。
そのため、本籍と住所が違う場合、戸籍謄本により明らかにされる相続人と、印鑑証明書の提出者が同一人であるかは、戸籍謄本と印鑑証明書のみでは証明できないこととなります。
上記の証明のためには、住民票(本籍の記載入り)または戸籍の附票が必要となります。これにより、本籍と住所が結びつき、相続人の同一性が証明されるわけです。
しかし、上記先例により、戸籍謄本による相続人の氏名及び生年月日と、遺産分割協議書に添付の印鑑証明書に記載の相続人の氏名及び生年月日とが同一であるときは、その同一性を確認することができるものとして、住民票(本籍の記載入り)などの提出は不要とされています。
ただし、普段の司法書士実務においては、住民票(本籍の記載入り)または戸籍の附票もご用意いただくのを原則としています。各相続人から印鑑証明書を受け取れるのが遺産分割協議書へ署名押印するときになる場合などでは、事前の書類作成や相続人の同一性を確認するのに不都合が生じることがあるからです。
よって、相続人ご自身が必要書類を全て事前に揃えてきており、その中に相続人全員の住民票(本籍の記載入り)がないときなどには、上記先例に従うというように考えています。
なお、下記のような古い質疑応答もありますが、登記研究167号が出たのは昭和36年のことなので、上記先例の取扱いに変更になっていると考えて差し支えないでしょう。
問 遺産分割協議書に本籍の記載のない印鑑証明書を添付したところ、登記官吏から本籍の記載のないものは本人かどうかの認定によるとして別に住民票抄本の添付を求められたが、共同相続人たる身分関係は戸籍謄抄本において明らかであり、印鑑証明は分割協議書に捺印した印影の真正なることを証明すれば足りるものであるから、本籍の記載がなくてもよく、更に住民票抄本の添付は要しないものと考えるがいかがでしょうか。
答 御意見のとおり。
遺産分割協議書と住所証明書の要否(登研167号)
遺産分割による相続登記を申請する場合に、協議書、戸籍謄本及び印鑑証明書から、協議書に署名押印した者が共同相続人であることが確認できない場合には、本籍及び住所が記載された住民票の謄本又は抄本を添付すべきである。