相続した土地や建物の登記事項証明書を見ると、古い(根)抵当権や仮登記などが残ったままになっていることがあります。すぐに不都合が生じることはないとしても、その土地や建物を売却するようなときには事前に抹消することが求められるはずです。そのような仮登記などの抹消をしようとする場合、一般の方がご自分で登記手続きをするのは困難であり、不動産登記の専門家である司法書士に相談・依頼する必要があると思われます。
登記名義人住所変更登記で改製原住民票が必要な場合
千葉県松戸市では、令和7年1月4日から住民票の写し・印鑑登録証明書の様式が変わっています。この様式の変更は、国の定める標準仕様に準拠したシステムへの変更に伴いおこなわれたようですが、「前住所」欄が廃止されたことにより、転居前の市内住所が記載されなくなっています。そのため、松戸市内で住所移転している場合で、前住所の記載がある住民票が必要なときには、現在の住民票だけでは足りず、改製原住民票の交付も受けなくてはならなくなりました。
所有権移転登記での検索用情報(メールアドレスなど)の申出
検索用情報の申出は、新たに所有権移転登記などの申請をするときだけでなく、令和7年4月21日時点で既に所有権の登記名義人である場合についても、検索用情報の申出(単独申出)をすることができます。現時点で、検索用情報の申出(単独申出)をする必要性がどれだけあるかは不明ですが、この申出を済ませておけば「住所等変更登記が義務化された後も義務違反に問われることがなくなる」という点においては意味があるといえるでしょう。
調停離婚での財産分与による所有権移転登記
このような調停条項となっている場合、所有権移転登記の申請ができるのは、財産分与及び解決金の支払いをすることにより条件が成就した後となります。今回のケースでは、調停調書の中に申立人が財産分与及び解決金の支払を受けたときには登記手続委任状等の所有権移転登記手続きに必要な書類の交付をするというような条項があったので、支払いをした後に登記義務者(分与者)から、印鑑証明書、登記申請委任状等の交付を受けることで、共同申請による所有権移転登記をおこないました。
相続財産清算人による相続分譲渡からの相続登記
相続財産清算人から、次のように手続きを進めたいとの連絡がありました。相続財産清算人により、相続財産法人の相続分全部を、相続人中の1人に無償譲渡する。上記の譲渡をした後に、他の相続人のみにより遺産分割協議を成立させ、相続登記の申請をする。他の相続人への無償譲渡により手続きを進めるられることとなったのは、相続財産がごく低額の不動産のみであったとの事情によるのだと思われます。
相続登記、相続放棄の取扱件数
全ての司法書士は毎年1月に前年の業務事件数(取扱件数)を所属司法書士会(当事務所の場合は千葉司法書士会)へ報告しなければなりません。私はその業務報告書を作成するついでに相続登記と相続放棄の取扱件数を集計しウェブサイト上で公開してきました。なお、当事務所では、相続登記と相続放棄の他にも多数の業務を取り扱っており、この2つの業務だけを取り上げている理由は、ただ単にそれぞれの専門サイトを運営しているからです。
株式会社の設立登記にかかる費用について
千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)では、2002年2月の事務所開業から20年以上の長期にわたり、数多くの株式会社設立登記を取り扱ってまいりました。ここのところ、株式会社の設立登記にかかる費用についてのお問い合わせを多くいただいています。当事務所へ株式会社設立登記をご依頼いただく場合にかかる費用は総額で28万円程度となります(資本金100万円の取締役会を設置しない株式会社の場合)。この内訳は、定款認証の手数料等が約42,000円、登録免許税が150,000円、司法書士報酬が88,000円です。
戸籍謄本等の広域交付について
戸籍証明書等の広域交付の制度により、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍謄本などの請求がおこなえるようになっています。これまでは、戸籍謄本の請求ができるのは本籍地のある市役所などのみでした。たとえば、千葉県松戸市に本籍地がある場合、戸籍謄本の請求がおこなえるのは松戸市役所(または市役所の支所など)だけだったわけです。それが、これからは日本全国どこの市町村の窓口でも、戸籍謄本の請求をおこなえるようになったのです。これにより、本籍地が遠くにある方でも、お住まいや勤務先の最寄りの市区町村の窓口で戸籍謄本などを請求することができます。
相続登記の申請義務化と過料通知について
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。これにより、今後は「不動産を相続により取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければならない」こととなります。ただし、相続登記の申請義務に違反することとなっている場合であっても、すぐに過料に科せられるわけではありません。現時点での取り扱いでは、現実に過料に科せられるのはごく限定されたケースのみとなります。よって、一刻も早く相続登記の手続きしないと過料に科せられるというような心配をする必要は通常ないといえます。
遺産分割協議による死者名義への相続登記
夫Aが所有していた不動産についての遺産分割協議をしないうちに、妻Bが死亡してしまったとします。この場合に、長女C、長男Dの2人による遺産分割協議で、長女Cが不動産を取得することとなったときには、AからCへの所有権移転登記を1件の申請によりすることができます。また、上記の場合で、すでに死亡している妻Bへの相続登記をすることも可能です。まずは、妻Bへの相続登記をおこない、さらに、妻Bから長女Cへの相続登記をするということです。
相続登記義務化のご案内
不動産の所有権登記名義人について相続の開始があったときは、その相続により所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権移転登記を申請しなければならないこととなります。相続登記の義務化の対象となるのは、これから新たに相続する不動産だけでなく、義務化される以前に相続している不動産も含まれるので注意が必要です。つまり、2024年4月1日よりも前に相続している(登記名義人が死亡している)不動産も、相続登記の義務化の対象となるわけです。
地上権の相続登記(敷地権化されていない区分建物)
敷地が地上権であっても、敷地権付の区分建物(敷地権化されている区分建物)である場合には、相続による所有権移転登記をするのにあたって、敷地が所有権である場合とそれほど違いはありません。しかし、敷地権の登記がされていない区分建物であり、その敷地が地上権である場合、建物だけでなく敷地についての登記も別にする必要があります(建物については所有権移転登記、敷地については地上権移転登記)。
特例有限会社の1人取締役の死亡による役員変更登記
1名しかいない取締役が死亡した場合、臨時株主総会において後任者となる取締役の選任をします。臨時株主総会の議長については、唯一の取締役が死亡しているため、通常は議長となるはずの社長がいません。そこで、定款に「議長となるべき者に事故がある場合」についての規定があればそれにしたがいますが、1人しか取締役がいない会社であるのに、社長以外の者が議長となる場合の「あらかじめ定めた順序」など存在しないのが通常だと思われます。
亡くなった親の土地名義変更(相続登記をしないとどうなる)
不動産の名義が亡くなった親のままになっていたとしても、その家に住み続けているのであれば、すぐに不都合が生じることはないかもしれません。その土地や家が所在する市町村に対して現所有者の申告をし、相続人代表者が固定資産税の支払いをしていれば問題なかったわけです。しかしながら、その土地や家を売却する場合には、名義が亡くなった親のままでは駄目なのであり、売却する前に相続人への名義変更(相続登記)をしなければなりません。今すぐに土地を売却するわけではなくとも、いつかは売却する可能性があるならば、早めに相続登記をしておくべきです。