数次相続が生じている場合の相続登記については、このブログでもすでに何度か取り上げています。今回は、すでに死亡している相続人が不動産を取得するとの遺産分割協議に基づき、その相続人名義への相続登記をおこなう場合について解説します。

上図のような相続関係で、夫Aが所有していた不動産について遺産分割協議をしないうちに、妻Bが死亡したとします。
この場合、長女Cと長男Dは、Aの相続人であるとともに、Bの相続人として、Bが有していたAの相続人としての地位を承継します。そのため、長女Cと長男Dの2人で、Aの遺産について遺産分割協議をおこなうことができます。
その遺産分割協議により、長女Cが不動産を取得することとなった場合には、1件の申請によって、AからCへ直接、相続登記をすることができます。
また、長女Cと長男Dの遺産分割協議により、すでに死亡している妻Bが不動産を取得するものとして、AからBへの相続登記をすることも可能です。
不動産登記の手間や費用だけを考えれば、AからCへ1件の申請によって相続登記をするのが通常でしょう。
しかし、第1次相続における配偶者の税額軽減(いわゆる相続税の配偶者控除)の適用などを考慮し、妻Bが不動産を取得したものとして遺産分割をおこなうことがあります。そのような場合には、遺産分割協議の内容に従って、すでに死亡しているB名義への相続登記をすることができます。
なお、実際に配偶者の税額軽減を受けられるかどうかは、遺産分割や相続税の申告時期などによって異なりますので、税理士または所轄税務署への確認が必要です。
また、長女Cと長男Dが、妻Bの遺産についても遺産分割協議をおこない、長女Cがこの不動産を取得することとした場合には、「夫Aから妻Bへの相続登記」と「妻Bから長女Cへの相続登記」を連件で申請することができます。
妻Bが相続により取得した土地について、その相続登記をしないまま死亡している場合には、租税特別措置法第84条の2の3第1項により、AからBへの相続登記に係る登録免許税が免税となります(この免税措置の適用期限は、現在のところ令和9年3月31日までです)。
そのため、この事例の土地については、AからCへ1件で相続登記をする場合と、AからB、BからCへの2件の相続登記をする場合とで、登録免許税の負担は変わりません。
ただし、この免税措置は土地に限られ、建物についての相続登記には適用されません。そのため、建物について2件の相続登記をする場合には、それぞれ登録免許税がかかります。くわしくは、法務局による「相続登記の登録免許税の免税措置について」をご覧ください。
なお、死亡者のために相続による所有権移転登記ができることについては、次の質疑応答があります。
数次相続の開始の場合における中間の相続人のための相続登記の可否(登記研究209号)
問 登記簿上の所有者が甲であるが、甲が死亡して乙が相続し、さらに乙が死亡して丙丁戊が相続し、したがって、現在の相続人は丙、丁、戊でありますが、死亡者乙の相続による所有権移転の登記は、すべきでないとの説もありますが、乙がその不動産を生前第三者に売却している場合もありますので、死亡者乙のために相続による所有権移転の登記もできると思います。いかがでしょうか。
答 中間の相続人乙のために相続による所有権移転の登記をして差し支えないものと考えます(乙の死亡又は生存にかかわらず、また乙が生前売却していると否とにかかわりません。)。
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