相続財産管理人は相続財産清算人に(2024年2月16日追記)
令和5年4月1日施行の改正民法により、相続財産管理人から「相続財産清算人」へと名称が変わっていますが、相続財産法人への登記名義人氏名変更の登記についてはこれまでと変わりありません。よって、この記事中にある相続財産管理人はすべて「相続財産清算人」へと読み替えてください。
相続財産管理人選任後の相続財産法人化の登記についてはこのブログでも何度か記事にしていますが、現在も多くのアクセスがあるようなのでこの記事にまとめてみることします。
なお、このような登記を専門家以外の方がご自分で申請することは通常あり得ないと思いますので、とくに興味のある方以外はお読みいただく必要はありません。司法書士への不動産登記のご相談・ご依頼をご検討の方は、千葉県松戸市の高島司法書士事務所による不動産登記のページをご覧ください。
また、この記事に書かれていることは、当事務所で実際の取り扱ったケースに基づいておりますが、実務の参考にする場合はあくまでも自己責任でおこなってください。また、この記事に書かれていることについてのご質問は受け付けておりませんが、明らかな誤りがある場合などはコメントなどいただけると幸いです。
相続人不存在による所有権登記名義人氏名変更
相続人のあることが明らかでないときは相続財産は法人となります(民法951条)。
実際の手続としては、裁判所への申立により相続財産管理人が選任された後に、相続財産管理人が申請人となり所有権登記名義人氏名変更の登記をします。
この登記は、被相続人から相続財産法人への所有権移転登記ではなく、所有権登記名義人の氏名変更登記であり、下図のように被相続人名義への所有権移転登記に対する付記登記としておこなわれるわけです。
相続財産法人化の登記についてのくわしい情報は、「所有権登記名義人氏名変更(相続人不存在)」で解説しています。
前提としての被相続人に対する相続登記
被相続人の名義になっていない場合、所有権登記名義人氏名変更の登記をする前に、相続による所有権移転登記をします。
この例では、不動産が共有になっていたのを、1件目の相続を原因とする持分全部移転登記で被相続人名義にした後、2件目で相続人不存在を原因とする所有権登記名義人氏名変更の登記をしています。
なお、所有権登記名義人氏名変更の登記は1件の申請によりますが、これにより「1番登記名義人氏名変更」、「2番登記名義人氏名変更」の付記登記がされています。
1件目の被相続人に対する、相続を原因とする所有権移転登記がおこなえるは当然のことですが、「死者名義への相続登記」で解説しています。
また、このケースで被相続人への所有権移転登記をする際、土地については登録免許税がかかりません。このことについて詳しくは「相続に係る所有権の移転登記の免税(租税特別措置法84条の2の3第1項)」をご覧ください。