法定相続情報一覧図に記載する相続人は、相続開始時における同順位の相続人です。そのため、相続開始後に死亡した相続人がいたとしても、その亡くなっている人も相続人として記載しなければなりません。

したがって、いわゆる数次相続が生じている場合に、1つの法定相続情報一覧図によって、その数次相続の相続関係を表すことはできません。

たとえば、上図のとおりの相続関係の場合に、法定相続情報一覧図を作成するとします。

被相続人長男Aが令和2年5月1日に死亡した時点の相続人は、妹であるB、弟であるCの2人でした。しかし、令和3年3月1日にCが死亡したことにより、数次相続が生じています。

この場合、まずは被相続人Aについての法定相続情報一覧図を作成します。

法定相続情報一覧図1(数次相続の場合)

法定相続情報一覧図に記載する相続人は、相続開始時における同順位の相続人ですから、すでに死亡しているCについても相続人として記載することになります。

そして、さらに被相続人Cについての法定相続情報一覧図も作成することになります。

法定相続情報一覧図2(数次相続の場合)

このように被相続人A、被相続人Cのそれぞれについて法定相続情報一覧図を作成することにより、数次相続が生じている場合の相続関係を表すことができるわけです。

申出人および管轄登記所について

数次相続の場合に、上記のとおり2つの法定相続情報一覧図を作成するとして、申出人および管轄登記所には注意が必要です。

法定相続情報一覧図作成の申出人となれるのは、「相続人または当該相続人の地位を相続により承継した者」です(不動産登記規則第247条第1項)。

そのため、本例の場合でいえば、被相続人Aの法定相続情報一覧図作成についての申出人となれるのはBまたはDですが、被相続人Cについての申出人はDのみとなります。

本例のようなケースでは、被相続人のAの遺産相続手続きをおこなうため、被相続人の兄弟姉妹が法定相続情報一覧図の作成をするという場合が多いかもしれません。

具体的にいえば、被相続人Aの妹であるBが法定相続情報一覧図の作成しようとするわけです。

ところが、Bは被相続人Cの法定相続一覧図作成の申出人にはなれないので、Cの子であるDが申出人となって手続きをしなければならないのです(BがDから委任を受けることにより代理人として申出をすることは可能)。

また、法定相続一覧図作成の管轄は、「被相続人の本籍地、もしくは最後の住所地、申出人の住所地または被相続人を表題部所有者もしくは所有権の登記名義人とする不動産の所在地を管轄する登記所」です。

そのため、Dが申出人になるとすると、Bが申出人として手続きをする場合と管轄が違ってくることもあります。

法定相続情報一覧図作成の申出は郵送によりすることも可能ですから、管轄登記所が遠方だとしてもとくに問題になることはないでしょう。それでも、誰が申出人であるかにより管轄が変わる可能性がある点には注意を要します。