株式会社の本店移転にともなう登記のご相談をいただきました。お話を伺っていると、この際、取締役を1名のみとし、監査役もおかないようにしたいとのこと。

株式会社の場合、かつては取締役3名以上による取締役会と、最低1名の監査役設置が必須でした。そのため、実質的に経営に携わっているのは社長である代表取締役1人だけなのに、名前だけの平取締役2名と監査役1名を置いているケースもありました。

それが現在では、役員は代表取締役である取締役1名のみとし、取締役会も監査役も置かない株式会社も認められています。そして、既存の取締役3名、監査役1名の株式会社も、取締役1名のみの会社に変更することができます。

そこで、今回は取締役1名のみの株式会社に変更するために必要な全ての登記と、株式会社の本店移転登記の手続きを同時におこなうこととしました。そのために必要となった旧本店所在地における「登記の事由」は次のとおりです。

・取締役会設置会社の定めの廃止
・監査役設置会社の定めの廃止
・株券発行会社である旨の定めの廃止
・株式譲渡制限の定めの変更
・取締役及び監査役の変更
・本店移転

なお、「株券発行会社である旨の定めの廃止」については、今回の取締役会設置会社の定めの廃止などと直接関係するものではありませんが、株券を実際に発行していない株式会社だったため、株券を発行する旨の定め廃止の登記もこれを機にすることとしたのです。

旧本店所在地で上記の登記をおこなうためにかかる登録免許税は10万円です(本店移転の登録免許税3万円を含む)。さらに新本店所在地でも3万円の登録免許税がかかるので、今回の登記には合計13万円もの登録免許税がかかることになります。

それでも今回の登記により、新本店所在地にできるのは取締役1名のみのシンプルな形態の株式会社となりますから、その後は面倒な登記手続きが頻繁に必要になることはないでしょう。

今回のような登記手続をするには、株主総会で何を決議するべきか、登記手続の必要書類は何であるかなど、確実に1度で登記を完了させるために事前検討しなければならないことが多数あります。株式会社の登記手続も、千葉県松戸市の高島司法書士事務所にご相談・ご依頼ください。

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