土地・家屋の名義変更(夫婦、親子間の贈与)

土地や建物の名義変更をするためには、その土地や建物の「所有者が変わった」、つまり、「別の人へ所有権が移転した」ことが前提となります。

たとえば、夫から妻へ土地の名義変更をするという場合、夫から妻へその土地の所有権が移転したから名義変更をおこなうわけです。

それでは、土地や建物の所有権は、どのような場合に移転するのでしょうか?

土地や建物など、モノの所有権が移転するには、その原因がなければなりません。所有権が移転する原因としては、売買、贈与、相続、財産分与、遺贈など様々なものがあります。

たとえば、土地や建物を購入してその名義を変更するときには、売買を原因とする不動産の所有権移転登記をします。また、ご家族が亡くなられたことによるのであれば、相続を原因とする所有権移転登記(相続登記)となります。

夫婦間、親子間の贈与による所有権移転登記

夫婦間や親子間での土地や家屋の名義を変更するときには、無償での譲渡によることが多いでしょう。この場合には、贈与を原因とする所有権移転登記をします(なお、夫婦間であっても、離婚にともなうときには財産分与によるのが通常です)。

贈与とは無償(無料)で財産を譲り渡すことですから、金銭などの対価の支払いをすることなしに土地や建物の所有権が移転します。贈与も契約の1つですが、贈与する側(贈与者)と、貰う側(受贈者)が合意するだけで効力が生じるのです。

民法第549条(贈与)
 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

ただし、ここで注意しなければならないのが贈与税の負担についてです。代金の支払いがともなう売買や、人の死により当然に所有権が移転する相続の場合と比べて、ただで(無償で)所有権が移転する贈与の場合には、高額な贈与税がかかることがあるのです。

たとえば、1000万円の財産を1度に贈与した場合、231万円もの贈与税がかかることになります(暦年課税、一般贈与財産の場合。くわしくは、不動産の贈与と税金をご覧ください)。

贈与だと贈与税がかかってしまうならば、贈与以外の原因によって親から子へ土地の所有権を移転する方法はあるのでしょうか?

たとえば、贈与でなく売買を原因にするとします。正当な対価を支払って売買するならば、たしかに贈与税はかかりません。しかし、買い取ったことにするが現実には代金を支払わないとか、出世払いにするなどというのでは駄目です。売買によるならば、現実に代金の支払いをしなければなりません。

夫婦間、親子間での贈与の場合の、贈与税の特例

結局、所有権移転の原因をうまく変えることで、贈与税の支払いを逃れるような方法はないと考えるべきですが、夫婦間や親子間の贈与(生前贈与)の場合には、特例の適用により贈与税の負担を減らす(無くす)ことが出来ることがあります

婚姻期間が20年以上の夫婦間での居住用不動産の生前贈与や、65歳以上の親から推定相続人である20歳以上の子への生前贈与で相続時精算課税を選択する場合などです。

贈与をするに当たってどのような特例が適用されるのか、また、相続によるのでなく生前贈与をおこなうことがそもそも必要であるのかなど、事前によく検討をするべきでしょう。夫婦間や親子間の不動産贈与、また、不動産の贈与と税金についての詳しい解説は、贈与登記(生前贈与)のページもぜひご覧ください。

夫婦間、親子間で不動産の贈与をする際の登記手続きは、松戸駅徒歩1分の高島司法書士事務所へご相談・ご依頼ください。当事務所では登記費用のお見積もりおよびご来所による相談は無料で承っています。