(最終更新日:2025年4月24日)

相続登記に必要な戸籍についての解説です。実際に手続きをする際には、不動産登記の専門家である司法書士に相談することをお勧めします。

1.被相続人の子が相続人になる場合

2.被相続人の直系尊属が相続人になる場合

3.被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合

4.被相続人の子の代襲者が相続人になる場合

5.数次相続により被相続人の妻子が相続人になる場合

1.被相続人の子が相続人になる場合

被相続人に子がいれば相続人になります。また、被相続人に配偶者がいる場合、子とともに相続人になります。

相続登記に必要な戸籍の範囲(被相続人の子が相続人になる場合)

・被相続人(父A)の出生から死亡に至るまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・相続人(長男C、二男D)の戸籍謄本

存命の配偶者がいる場合、子とともに相続人になりますが、母Bの戸籍謄本は、父Aの死亡の記載のある戸籍謄本と同一のものです。

2.被相続人の直系尊属が相続人になる場合

被相続人の直系尊属(父母、祖父母)が相続人になるのは、被相続人に子がいない(または、子の全員が相続放棄をしている)場合で、存命の直系尊属もいるときです。

父母、祖父母ともに存命の場合、近い親等の直系尊属のみが相続人になります。

また、被相続人に配偶者がいる場合、直系尊属とともに相続人になります。

相続登記に必要な戸籍の範囲(直系尊属が相続人の場合)

・被相続人(長男A)の出生から死亡に至るまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・亡父Bの死亡の記載のある除籍謄本等

・相続人(母C)の戸籍謄本

被相続人の直系尊属(父母、祖父母)が相続人になるのは、被相続人に子がいない(または、子の全員が相続放棄をしている)場合なので、被相続人の子のすべてを明らかにするため、被相続人の出生から死亡に至るまでのすべての戸籍等が必要となります。

3.被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合

被相続人の兄弟姉妹が相続人になるのは、被相続人に子がおらず、存命の直系尊属もいない場合です(子、直系尊属の全員が相続放棄をしている場合も含む)。

なお、被相続人に配偶者がいる場合、兄弟姉妹とともに相続人になります。

相続登記に必要な戸籍(兄弟姉妹が相続人の場合)

・被相続人(兄A)の出生から死亡に至るまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・直系尊属(亡父C、亡母D)の死亡の記載のある除籍謄本等

直系尊属(亡父C、亡母D)の出生から死亡に至るまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・相続人(弟B)の戸籍謄本

直系尊属の死亡の記載のある除籍等に加えて、兄弟姉妹のすべてを明らかにするため(他に兄弟姉妹がいないことを証明するため)、直系尊属の出生から死亡に至るまでのすべての戸籍等が必要となります。

4.被相続人の子の代襲者が相続人になる場合

被相続人の子が、被相続人より先に亡くなっている場合、その子に子がいれば相続人になります。つまり、被相続人の孫が相続人になるわけです。

相続登記に必要な戸籍の範囲(被相続人の子の代襲者が相続人になる場合)

上記のとおりの相続関係の場合、相続人になるのは母B、長男C、二男の子Fの3人です。

・被相続人(父A)の出生から死亡に至るまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

二男Dの出生から死亡に至るまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・相続人(母B、長男C、二男の子F)の戸籍謄本

二男Dに子が2名以上いる場合、その全員が代襲者として相続人になります。そのため、二男Dの子のすべてを明らかににするため、出生から死亡に至るまでのすべての戸籍等が必要になるのです。

5.数次相続により被相続人の妻子が相続人になる場合

下記の相続関係の場合のように、被相続人である父Aの相続手続きをしないでいる間に、二男Dが死亡してしまっている場合のことを数次相続といいます。

この場合、二男Dが有していた、父Aの相続人としての権利義務が、二男Dの相続人である、二男の妻Eおよび二男の子Fに引き継がれます。そのため、父Aの遺産分割協議には、EとFの2人も参加しておこなう必要があります。

代襲相続では相続人になるのは二男Dの子Fのみでしたが、数次相続の場合には二男の妻Eも「二男Dの相続人」として、遺産分割協議の当事者になるわけです。

相続登記に必要な戸籍の範囲(数次相続により被相続人の妻子が相続人になる場合)

・被相続人(父A)の出生から死亡に至るまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

二男Dの出生から死亡に至るまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・相続人(母B、長男C、二男の妻E、二男の子F)の戸籍謄本

二男Dに子が2名以上いる場合、その全員が「二男Dの相続人」として相続人になります。そのため、二男Dの子のすべてを明らかににするため、出生から死亡に至るまでのすべての戸籍等が必要になるのです。