被相続人甲が所有していた不動産の相続登記です。平成27年に被相続人甲が亡くなったが、遺産分割協議をしないでいるうちに、相続人の1人であった二男Cが亡くなりました。いわゆる数次相続が生じている状態です。
今から遺産分割協議をする場合、当事者となるのは長女A、長男B、および二男Cの相続人である妻D、子Eの4人です。そして、協議の結果、長男Bと子Eが共有により不動産を相続することになったとしたら、遺産分割協議書の記載は次のようになります。
1.BおよびEは、次の遺産を共有(各持分2分の1)により取得する。
(不動産の表示 省略)
子Eは、被相続人甲の直接の相続人ではありませんが、二男Cの相続人として分割協議に参加しているのですから、上記のような遺産分割をおこなうことも可能です。しかし、相続登記をする際には、被相続人甲から直接BおよびEへ所有権移転登記をすることはできません。
次のように、1件目でBおよび亡Cへの所有権移転登記をした後に、2件目でCからEへの所有権移転登記をしなければなりません。最終の相続人へ直接、相続登記することができるのは、第1次相続が単独相続である場合に限られるからです。
登記の目的 所有権移転
原因 平成25年○月○日 相続 ・・・日付は被相続人甲の死亡日
相続人 持分2分の1 B
2分の1 亡C
登記の目的 C持分全部移転
原因 平成27年○月○日 相続 ・・・日付はCの死亡日
相続人 持分2分の1 E
登記事項証明書への記載は次のようになります。Bおよび亡Cの共有に所有権が移転した後に、C持分全部がEに移転したとの物権変動どおりの記載がされるわけです。
どのような場合に、中間相続を省略して、最終相続人に対する直接の相続登記ができるのかは、なかなか分かりづらいかもしれません。くわしい解説は、数次相続による相続登記のページをご覧ください。