被相続人(亡くなられた方)に子どもがいる場合、第1順位で相続人となります。子であれば、実子・養子、嫡出子・非嫡出子(婚外子)などの関係無しにすべて相続人にあたります。

また、夫婦が離婚した場合であっても、親子関係が無くなることはありませんから、両親が離婚したからといって「縁が切れる」ようなことはありません。よって、子は、離婚した父と母それぞれについての相続人となるわけです。

離婚する際に、妻を子の親権と定めた場合

離婚する際、夫婦の間に未成年の子がいる場合には、父母の一方を親権者と定めます。もしも、妻が子の親権を持ったとしても、父と子が親子であることには変わりありませんし、親権をどうするかということと相続権とは何の関係もありません。

したがって、離婚の際に子の親権を相手方が持ったとしても、その子が親権を持たなかった方の親についての相続権を失うことはありません。子は両親双方についての相続人となるわけです。

再婚後の後妻との間に子どもが生まれた場合

離婚後に再婚し、再婚後の妻との間に子が生まれたとします。この場合であっても、前妻との間の子との親子関係が切れるようなことはありません。

したがって、その後に相続が開始したときには、再婚後の妻子とともに、前妻との子が法定相続人となるわけです。再婚してからは、死亡するまで全くの音信不通の状況だったとしても、前妻との子が相続権を失うことはありません。

そのような場合で、被相続人が遺言を作らずに死亡してしまったとすれば、残された妻子が、全く面識のない夫の前妻との子に連絡を取り、遺産分割協議への協力を求めなければならなくなってしまいます。

共同相続人の1人について現在の住民票の住所を調べることは可能なので、まずはそこに手紙を送ってみるのが通常ですが、一度も会ったことの無い父親の再婚相手(または、その子ども)から遺産分割協議への協力を求められても、快く応じるのは難しいのではないでしょうか。

両親が離婚しても、親子の縁が切れることはありません

両親が離婚して縁が切れたことによって、その子どもの相続権も無くなったものだと勘違いされている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ここまでご説明してきたとおり、両親が離婚しても親子の縁が切れることはありません。

そこで、前妻との間にも子供がいる場合など、遺産相続で問題が生じる恐れが少しでもあると考えるときには、自らの生前に遺言書の作成をすることで、相続人の負担を少しでも軽減しようと努めるのが最低限の義務だといえます。

誰が遺産相続をするかを遺言により指定しておけば、遺産分割協議書を作成すること無しに、銀行預金の解約(名義変更)手続きや、不動産の相続登記がおこなえます。つまり、適切な遺言書を作成しておくことにより、何十年もの間まったくの没交渉となっていた前妻との子から協力をして貰わなくとも、遺産相続手続をすることが可能となるわけです。