千葉県松戸市では、令和7年1月4日から住民票の写し・印鑑登録証明書の様式が変わっています(以下、「住民票の写し」ではなく、たんに「住民票」と書きます)。
この様式の変更は、国の定める標準仕様に準拠したシステムへの変更に伴いおこなわれたようですが、「前住所」欄が廃止されたことにより、転居前の市内住所が記載されなくなっています。
そのため、松戸市内で住所移転している場合で、前住所の記載がある住民票が必要なときには、現在の住民票だけでは足りず、改製原住民票の交付も受けなくてはならなくなりました。
これまでは1通の住民票で足りたものが、住民票と改製原住民票の2通を取らなければならなくなってしまったわけです。
今回の記事では、登記名義人住所変更の登記をする際に必要となる住民票(住民票除票、改製原住民票)について司法書士が解説しています。
ただし、ここでの解説は松戸市の場合であり、他の市町村でも同じだとは限りません。実際に登記名義人住所変更の手続きをする際には、司法書士または法務局にご相談ください。
また、住民票の様式などについての解説は、松戸市の「令和7年1月4日から住民票の写し・印鑑登録証明書の様式が変わりました」のページをご覧ください。
高島司法書士事務所(松戸駅徒歩1分)では、登記名義人住所変更など不動産登記のご相談をうけたまわっています。ご相談は予約制ですので、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧になって事前にご連絡ください。
登記名義人住所変更登記で改製原住民票が必要な場合
1.登記名義人住所変更の登記に添付する住民票
不動産の所有権登記名義人住所変更の登記をする際には、住所の変更を証する情報として住民票を添付します。この住民票には、登記記録上の住所、現在の住所および住所移転の日が記載されている必要があります
さらに、登記記録上の住所から2回以上住所を変更している場合、登記記録上の住所から現在の住所までの移転の経緯が分かる書類(住民票除票、戸籍の附票など)の添付が必要です。
2.住民票には市内転居の前住所は記載されない
ここからは、下記の順に転居をしており、登記記録上の住所から現住所への住所移転は1回のみであるものの、前住所が松戸市内であるときに必要な、住所の変更を証する情報としての住民票等について解説します。
1.東京都足立区綾瀬一丁目1番○号
2.千葉県松戸市新松戸一丁目○番地(登記記録上の住所)
3.千葉県松戸市松戸1176番地の○(現在の住所)
なお、戸籍の附票であれば1通で足りるときもありますが、今回は、住民票および住民票除票(改製原住民票)による場合ついての解説となります。
まず、令和7年1月4日から千葉県松戸市で交付されている「住民票」は次のイメージ画像のようなものです(今回の記事での解説用に司法書士高島が作成したものなので、実際のものとは見た目がだいぶ異なります)。
この住民票には、現在の住所(千葉県松戸市松戸1176番地の○)と、松戸市に転入する前の住所(東京都足立区綾瀬一丁目1番○号)が「転入前住所」として記載されていますが、前住所の記載はありません。
よって、登記記録上の住所が記載されていないため、この住民票のみでは「住所の変更を証する情報」となりません。
3.改製原住民票には前住所が記載される
令和7年1月4日から千葉県松戸市で交付されている「改製原住民票」は次のイメージ画像のようなものです。
なお、この改製原住民票は、今回の記事での解説用に司法書士高島が作成したものなので、実際のものとは見た目がだいぶ異なりますし、記載事項のうち、旧氏、住民票コード、個人番号など省略しているものもあります。
この改製原住民票には、前住所(千葉県松戸市新松戸一丁目○番地)が記載されています。
さらに、現在の住所および転居(住所移転)の日も記載されているので、「住所の変更を証する情報」としての必要な事項がすべて記載されていることになります。
ただし、この改製原住民票は、現在の住民票ではなく住民票除票に該当するものです(実際の改製原住民票にも、「この写しは、除かれた住民票の原本と相違ないことを証明する。」と書かれています)。
したがって、登記名義人住所変更の登記に添付する「住所の変更を証する情報」としては、改製原住民票に加えて現在の住民票も必要となるわけです。
これまでは住民票1通で住んでいたのが、市内転居の前住所を証明するためには、現在の住民票、改製原住民票の2通が必要になるのは改悪としか思えないのですが、この様式変更により改善されたことも何かあるのでしょうか。