住宅ローンを完済した際には、不動産に設定されている抵当権の抹消登記をおこないます。この登記申請は、抵当権設定者(不動産所有者)が登記権利者、抵当権者(住宅ローン保証会社等)が登記義務者となり、共同で手続きをします。
不動産が共有である場合、共有者全員が登記権利者として手続きをしなくても、共有者のうちの1人から保存行為として抵当権抹消登記申請がおこなえます。つまり、共有者の1人が登記権利者となり、登記義務者と共同で登記申請手続ができるわけです。
したがって、登記手続きを司法書士に依頼する場合、司法書士への委任状に署名押印をいただくことになりますが、抵当権抹消登記では共有者のうちのお1人から委任状をいただければよいことになります。
共有者の死亡と抵当権抹消登記手続
所有権の登記名義人が死亡した後に抵当権が消滅した場合には、相続登記(相続による所有権移転登記)をした後でなければ、抵当権抹消登記をすることが出来ないのが原則です。しかし、不動産が共有の場合には、共有者の1人が死亡した後に抵当権が消滅した場合であっても、事前に相続登記をすること無しに抵当権抹消登記をすることも可能です。
共有者のそれぞれが単独で抵当権抹消登記申請をすることが出来るのですから、共有者の1人が死亡している場合であっても、死亡した共有者者以外の方から登記申請を出来ることになるわけです。
なお、共有者の1人から保存行為として手続がおこなえるのは、あくまでも抵当権抹消登記のみについてです。その後に、不動産を売却し所有権移転登記をする際や、新たにローンを組んで抵当権設定登記をする場合には、事前に相続登記をしなければならないのは当然です。