保証債務は、債権者と保証人との間の、主たる債務を保証する旨の契約によって成立するものです。保証人といった場合、ほとんどが連帯保証人を指すので、このページの記述はすべて「連帯保証人」、「連帯保証債務」についてとなります。
保証債務は、上記のとおり保証契約により成立するものであり、主債務についての契約(金銭消費貸借契約)とは別の契約です。しかし、保証債務はその消滅について主債務に従うので、主債務者が消滅時効の援用をすれば保証債務も当然に消滅します(保証債務の附従性)。
また、主債務者が時効援用をしない場合でも、連帯保証人が主たる債務者の債務についての消滅時効を援用することができます。保証人は時効の援用権者である当事者(民法145条)に当たるとされているからです。保証人による時効援用によって主債務が消滅すれば、保証債務も消滅することになります。
債権者が主債務者へ請求し、主債務者に時効中断の効力が生じたときは、連帯保証人に対しても時効中断の効力が生じることとなります。また、主債務者に対し確定判決を得て時効期間が10年に延長された場合、保証債務の附従性により、保証人に対する時効期間も10年に延長されることとなります
民法457条1項は、主たる債務が時効によつて消滅する前に保証債務が時効によって消することを防ぐための規定であり、もっぱら主たる債務の履行を担保することを目的とする保証債務の附従性に基づくものであると解されるところ、民法174条の2の規定によって主たる債務者の債務の短期消滅時効期間が10年に延長せられるときは、これに応じて保証人の債務の消滅時効期間も同じく10年に変ずるものと解するのが相当である。そして、このことは連帯保証債務についても異なるところはない(最高裁昭和43年10月17日判決)。
連帯保証人に対する請求は、主たる債務者にも効力を及ぼすので、連帯保証人に対して請求し、連帯保証人に時効中断の効力が生じたときは、主債務者に対しても時効中断の効力が生じることとなります。ただし、連帯保証人に対して確定判決を得た場合であっても、主債務者についての時効期間が10年に延長されることはないとされています。
消滅時効の完成後に、主たる債務者が時効の利益を放棄した場合であっても、保証人は消滅時効の援用をすることができます。時効利益の放棄は、本人及びその承継者以外の者に対しては効力を生じないからです。
主たる債務が時効で消滅したときに、保証人が保証債務について時効の利益を放棄した場合であっても、その後に、主たる債務者が時効を援用したときには、保証人もあらためて時効の援用が出来ると考えられます。しかし、主たる債務者も時効の利益を放棄したときには、保証人があらためて時効の援用を出来る余地がないのは当然です。
(最終更新日:2016/03/01)