消滅時効の援用を考えているが、どこから借入れをしていたかがハッキリしないときには、最初に信用情報の開示手続きをおこないます。返済が完了せず、支払いを延滞したままになっている債権者がある場合、信用情報を見ることで会社名や、延滞(異動)の発生時期を知ることができます。
信用情報機関には、銀行系、クレジット会社系、消費者金融系に分かれています。そこで、どこから借りていたかによって、次の3つの信用情報機関のうち、必要なところに開示請求をします。
信用情報の開示手続きは、筆証書類の郵送などによる他、JICCおよびCICについては窓口に行けばすぐに情報開示を受けることができます。手続きには、手数料500円と本人確認書類(運転免許証等)が必要ですが、くわしくは各信用情報機関のウェブサイトをご覧ください。
なお、時効援用の相談をしたいが、信用情報の取り方がよく分からないという場合、まずは当事務所へお気軽にお問い合わせください。
・取引時期(最終返済日)が不明な場合
借入れをしていた相手方(債権者名)は分かるが、最終の返済時期が不明であるというときにも、信用情報の開示手続きをすることで延滞(異動)の発生時期を知ることができます。
わざわざ信用情報を取らなくても、司法書士から債権者に対して取引履歴の開示請求をすることによっても、最終取引時期などを確認することは可能です。開示された取引履歴により消滅時効が完成していることが確認できたら、時効援用の手続きをおこなうわけです。
けれども、その債権者の記録が信用情報に出ていなかったとすれば、司法書士に依頼し手続きをする必要がそもそも無かったことにもなります。そこで、まずは信用情報を取ってからご相談にお越しいただければ、手続きの必要性の有無も含めて適切な方法をご案内できます。
・請求(督促)が来ていなくても消滅時効援用が必要?
債権者から現時点で請求がおこなわれていなくても、消滅時効の援用をすることがあります。延滞の発生から長い年月が経ち、電話や郵便などによる督促が止んでいいても、信用情報への事故情報(延滞、異動)が登録されたままになっている場合もあるからです。
そのままの状態では、いつまで経っても信用情報が回復せず、住宅ローンを組んだり、クレジットカードを作ることが出来ないかもしれません。そこで、事故情報が登録されている債権者に対して、消滅時効の援用をおこなうことにより債務が消滅すれば、延滞の状態が解消されるわけです。
・信用情報に出ていない債権者について
借入れを延滞したままになっているからといって、いつまでも信用情報に登録され続けているとは限りません。最後の取引時期から長い年月が経過している場合には、信用情報から記録が消えていることもあります。
そこで、信用情報の開示を受けてもその債権者についての情報が載っておらず、かつ、債権者からの連絡が一切入っていない状況なのであれば、現時点で消滅時効の援用をしなくともとくに問題はないでしょう。債権者からの督促がないのに消滅時効の援用をする必要があるのは、信用情報に事故情報が残っているときだからです。
ただし、消滅時効の援用をしていなければ、債務が完全に消滅しているわけではありません。そこで、後になって再び債権者から督促がおこなわれたり、債権譲渡を受けたとする債権回収会社などからの連絡が入ることもあります。そういった場合には、督促などを受けた時点で消滅時効援用をおこなうことが可能です。
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