新NISAで老後資金は安心か

お金

2024年から新NISA制度が始まることで、老後資金準備などのために新NISAを利用して資産形成をしたいと考えている方も多いでしょう。

NISAがどんなものであるかを理解している方であれば、「新NISAにより積立投資をすれば老後資金は安心」というようなものでないのは当然のことですが、投資歴20年超(?)である私の考えを書いてみたいと思います。

なお、私は2級FP技能検定の資格は取得していますが、ファイナンシャルプランナーとしての業務をおこなっているわけではありません。あくまでもブログのネタとして思ったことを書いてみるだけですので、興味のある方のみご参考までにお読みください。

まず、NISAとは少額投資非課税制度のことであり、具体的には「NISA口座で購入した上場株式や投資信託等の配当金及び売買益等が非課税になる制度」です。本来は20.315%課税される配当金および売買益などが非課税になるわけです。

簡単にいえば、購入した投資信託などが値上がりして儲かった場合に、本来かかるはずの税金が非課税になるということです。

売却時に100万円値上がりしていた場合、その売買益に本来は20.315%課税されたはずが、NISAでは非課税になるため儲かった100万円のすべてが自分の懐に入るわけです。つまり、NISAを利用せず投資をしていた場合に比べて儲けが20万円ちょっと多くなるというだけのことです。

これがもし売却時に値下がりしていたとすれば、そもそも税金はかからないのですから、NISAを利用しているかどうかは関係ありません。そして、当たり前の話ですが、売却時に値下がりしているということは、ただ単に損をするということです。

たとえば、新NISAのつみたて投資枠で毎月10万円の積立を10年間続けたとすれば積立総額は1200万円ですが、購入した投資信託の基準価額が下落し続ければ、売却時の評価額が総額600万円になっている可能性だってあります。

もしも、現金や銀行預金で保有していたならば1,200万円が手元に残っていたはずが、新NISA制度を利用して積立をしたことにより600万円に減ってしまったわけです。

最近10年間くらいでみると、日本もアメリカも株価は概ね上昇傾向にあるといってよいでしょう。そのためもあってか、若い方(もしくは昔を忘れてしまった方)の多くは、10年などの長期でみれば株価は上昇するのが当然だと考えているかもしれません。

しかしながら、これからの10年、20年も株価が上昇し続けるのを前提にして、老後資金をすべて新NISAによる投資で賄おうとするのはかなり怖いことにも思えます。

この20数年の日経平均株価の推移を確認してみます(全てその月の終値です)。

2000年3月 20,337円
2010年3月 11,089円
2015年3月 19,206円
2020年3月 18,917円
2023年3月 28,041円

どの時期を選択するかによって、投資結果に大きな違いが出てくるのは当然です。あえて悪い時期を選んだのだろうといわれればその通りなのですが、注意すべきであるのは「自分が投資を始めたときが最悪な時期であった」という可能性ももちろんあるわけです。

2000年3月を基準にすると、10年後も20年後も株価は下落した状態です。この間にも多少は株価が持ち直した時期もありますし、また、毎月の購入金額を一定に保つドルコスト平均法によるなどすれば損失は抑えられる(または少しは利益が出る?)こともあるとしても、売却の時期によっては大きな損失を出していた可能性もあるでしょう。

積立開始から20年が経過した2020年になっても諦めずそのまま保有し続けていたならば、2023年には大幅に株価が上昇していたわけですが、それはあくまでも結果論です。

2023年末の現在も日経平均は30年ぶりの高値となっています。この状況で2024年1月から始まる新NISAにより積極的な積立をおこなったとして10年後はどうなるのか。もしかしたら、今が最高潮かもしれません(もちろん、そうでないかもしれません)。

50歳過ぎの私ならば、20年後くらいまでは待てるとしても、そのときの株価がどうなっているかは全く分かりません。そして、10年、20年と時期をみて売却できるのは、あくまでも余裕資金で積立をしている場合のみです。

老後資金を全て新NISAで準備することして、10年後に必ず売却する必要があるというような資金計画では悲惨なことにもなりかねません。

だからどうという結論はとくになく、私自身も新NISAを利用していくつもりではありますが、長期投資なら絶対大丈夫みたいな雰囲気は結構怖いと思うわけです。今日も日経平均は500円以上下落しましたし。

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