当事務所へご相談にお越しになった方からお話を伺うと、相続登記が義務化されることを知っている方が増えているように感じます。

ご相談者から「長年にわたって相続登記をしないままにしていたが、相続登記が義務化されると聞いて相談することにした」というようなお話しを伺うこともあります。

相続等による登記申請の義務に違反した場合の過料について気にされている方も多いです。実際に過料に処せられるかどうかはさておき、子や孫の代にそのような義務を引き継いでしまうのを避けたいとの考えもあるようです。

上記のように、ご相談者から相続登記義務化の話題が出た場合を除いては、相続登記が義務化されることが、司法書士へのご相談件数の増加につながっているのかどうかは分かりません。

けれども、令和6年4月1日の改正法施行に向けて、相続登記義務化の認知度がさらに高まっていくことは間違いありません。

実際、当事務所においても相続登記のご相談件数は明らかに増加傾向にありますが、今後は顧客獲得の争奪戦が一層激しくなっていくはずです。司法書士事務所間での競争のみならず、他士業や企業のサイトでも相続登記で集客しようとするところが出てくるでしょう。

現在のところ、「松戸市 相続登記」でGoogle検索すると、松戸市と千葉地方法務局松戸支局によるページに続き、当事務所ウェブサイトが3位に入っています。

今後も検索順位を維持していければ良いのですが、PPC広告(Google広告)の出稿も明らかに増えていますし、SEOのみによる集客はどんどん難しくなっていくのは確実です。

相続登記からは話が逸れますが、債務整理や会社設立などかつてはウェブサイト経由でのご相談が多かった業務について、近年では新規お問い合わせ件数が大幅に減っています。

どちらも他士業のサイトや、企業運営のポータルサイトのようなものの増加により、司法書士が個人で運営するサイトでは太刀打ちできなくなってしまったのが原因でしょう。

相続登記についても同じような状況になるのは避けがたいところですが、債務整理や会社設立とは異なり、現時点で相続登記は他とは競合していないのが救いではあります。

行政書士や相続相談センターというような名称のサイトが、相続登記のキーワードで集客しようとしてはいるものの、実際に相続登記を取り扱うことはできないことからも、それほどの脅威にはなっていません。

Googleがどこまで認識しているのかは分かりませんが、「相続相談」のようなキーワードでは負けてしまっていても、「相続登記」ならば司法書士によるサイトが上位に来ているように思えます。

相続登記の相談をすべきは司法書士であることを、ネット上でも個々の司法書士事務所が積極的にアピールしていくことなどで、何とか牙城を守っていきたいものです。

相続登記義務化による特需のようなものがあるとして、それが既に来ているのか、それともこれから訪れるのかは分かりませんが、ネット集客をおこなう司法書士事務所にとって、決して逃してはならない大きな波になると考えて対策を講じるべきでしょう。