高島司法書士事務所(千葉県松戸市)では複数のブログを運用しており、このブログは司法書士による日記やコラムなどを投稿するために開設したものです。メインブログ(公式ブログ)は、司法書士高島一寛のブログですので、司法書士業務等についての記事はそちらをご覧ください。
相続放棄のご相談
当事務所(千葉県松戸市の高島司法書士事務所)の特徴は、ウェブサイトやブログを見てお問い合わせくださった個人のお客様からのご相談、ご依頼がたいへん多いことです。
個人のお客様からのご相談の中でとくに多いのは、相続登記や相続放棄など相続に関連する手続きです。当事務所では、相続放棄の専門サイトを公開し、情報発信していることもあり、これまでに多数の相続放棄の手続きを取り扱ってきました。
相続放棄の手続きは家庭裁判所に申立てをすることによりおこないますが、家庭裁判所に相続放棄の申述が受理されるかどうかは、専門家(弁護士、司法書士)であっても、実際に手続きをおこなった経験が少ない場合には、自信を持って判断するのは難しいかもしれません。
高島司法書士事務所(千葉県松戸市)では、最近の10年間で500件以上の相続放棄申立てをおこなっています。相続放棄が受理されるか分からず心配だというような場合でも、当事務所までご相談ください。
3ヶ月経過後の相続放棄が受理される場合
ここでいう「3ヶ月経過後」というのは、被相続人の死亡を知ったとき(自分が相続人となっているのを知ったとき)から3ヶ月が経過した後になって、被相続人に債務があったのを知った場合を想定しています。
相続の開始(被相続人の死亡)から3ヶ月が経過していても、その死亡の事実を知らなかったときには、被相続人が死亡した事実を知ったときから3ヶ月以内であれば問題なく相続放棄が可能です。
また、被相続人の死亡の事実を知っていた場合でも、先順位者(被相続人の子など)がいるので、自分が相続人ではないと思っていたようなときには、先順位者の相続放棄により自分が相続人となったことを知ったときから3ヶ月以内であれば問題なく相続放棄が可能です。
上記2つのケースでは、それぞれ事実を知ったときから3ヶ月以内であれば相続放棄ができるわけですから、受理されるかどうか判断に困るということはありません。
被相続人に債務があったのを知ったとき
3ヶ月経過後の相続放棄が認められる場合があることについては、昭和59年の最高裁判決により示された次のような判断が基準となっています。
具体的には、「被相続人には相続財産が全くないと信じ、かつ、そのように信じたことに相当な理由があるとき」であり、そのような場合には、「相続財産の全部または一部の存在を認識したときから3か月以内」であれば、相続放棄の申述が受理されることがあるわけです。
ただし、実際の家庭裁判所での手続きでは、上記の判断基準はかなりゆるやかに解釈されています。
たとえば、相続財産が多少なりともあることを知っていたときであっても、後になって予想もしなかったような高額の債務があることが判明したような場合では、とくに問題なく相続放棄が受理される可能性が高いと思われます(例外については後記を参照)。
また、相続財産がほとんどないと思っていたようなときには、後から判明した債務がたとえ少額であっても、相続放棄が受理される可能性は高いでしょう。
次のように、「家庭裁判所は、却下すべきことが明らかな場合以外は、相続放棄の申述は受理すべきである」として、受理されるかの判断がなされているわけです。
相続放棄の申述が却下されると、相続放棄が民法第938条の要件を欠き、相続放棄したことを主張できなくなることにかんがみれば、家庭裁判所は、却下すべきことが明らかな場合以外は、相続放棄の申述は受理すべきである(東京高裁平成22年8月10日決定)
債務が発覚してから3ヶ月が経過している場合
上記のとおり、「被相続人には相続財産が全くないと信じ、かつ、そのように信じたことに相当な理由があるとき」との基準については、ゆるやかに判断がなされているとしても、被相続人の死亡から3ヶ月が経過した後に債務が発覚した場合に、その債務が発覚したときからも3ヶ月が経過した後の相続放棄は認められない(却下される)可能性が高いと考えます。
つまり、昭和59年の最高裁判決により、「相続財産の全部または一部の存在を認識したとき」が熟慮期間の始期とされたのが、そのときからも3ヶ月が経過してしまったすれば、もはや相続放棄が受理されることはないということです。
債務がどのように発覚し、それを相続人がいつどのように認識したのかなど、相続放棄が受理されるかを判断するのにあたって検討する余地はあるとしても、債務が発覚したときから3ヶ月が経過してしまえば、それからの相続放棄は困難だと言わざるを得ません。
相続財産の処分をしてしまっている場合
先に、相続財産が多少なりともあることを知っていたときであっても、後になって予想もしなかったような高額の債務があることが判明したような場合では、相続放棄が受理される可能性が高いと書いていますが、相続開始後に被相続人の財産を処分してしまっている場合は問題です。
たとえば、遺産分割協議をおこない被相続人所有の不動産を相続してしまっているような場合です。
このような場合に、不動産を相続している相続人が相続放棄をするのは困難だと考えられます。相続した不動産の価値に対し、後で発覚した債務があまりに多額である場合などには、相続放棄が認められる余地があるかもしれませんが、それでも相続財産の処分をしてしまっていることは明らかであるわけです。
これに対し、遺産分割協議書に署名押印はしているものの、もともと自分が相続すべき財産は全く存在しないと考えていて、他の相続人から求められるままに署名押印したというような事情があるときには、その後に多額の債務が発覚したような場合には、相続放棄が認められる可能性は十分にあると考えられます。
相続放棄は経験豊富な専門家へ
ここまで書いてきたようなことは、相続放棄に関する裁判例や専門書などを読むことにより、専門家(弁護士、司法書士)であれば誰でも分かることです。
しかしながら、実際に家庭裁判所への申立てを行った経験が乏しい場合、ご相談のケースで相続放棄が受理されるかどうか自信を持って判断するのは難しいかもしれません。
当事務所(千葉県松戸市の高島司法書士事務所)へのご相談でも、私がお話しを伺えば、全く問題なく相続放棄が受理されると判断されるようなケースなのに、「今から相続放棄をするのは無理だと門前払いされた」とか、「受理されるかどうかは分からないが、駄目でもともとと考えて申立てをするしかない」と言われたというようなことも多くあります。
相続開始から3ヶ月経過していることのみをもって、今からの相続放棄は無理だと判断してしまっているようなケースは論外として、「知識としては分かっていても、実際の経験がないから不安なため、自信を持って判断できない」という場合も多いと思われます。
経験がないから不安だというのは当然のことですが、相談や依頼をするならば、経験豊富な専門家を選ぶべきです。
千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)では、2002年2月の事務所開業から20年以上の長期にわたり、多数の相続放棄のご相談、ご依頼をうけたまわってきました。最近の10年間だけでも500件以上の相続放棄申立てをおこなっています。相続放棄が受理されるか分からず心配だというような場合でも、当事務所までご相談ください。
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