親権者が死亡したことなどにより、未成年者に対し親権をおこなう人がいない場合、家庭裁判所へ申立てをすることによって未成年後見人が選任されます。未成年後見人には、祖父母その他の親族が選任される場合もあれば、第三者の専門家(弁護士、司法書士、社会福祉士など)が選任されることもあります。
未成年後見が開始するのは、未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないときです(民法838条1号)。たとえば、協議離婚後に子(未成年者)の親権者となっていた母が死亡した場合にも未成年後見が開始しますが、生存している親(未成年者の父)に親権者としての適格性があるときには、生存親への親権者変更も認められます。
・未成年後見人選任の申立ての手続き
(1) 申立てが出来る人
未成年被後見人またはその親族、その他の利害関係人(民法840条)
(2) 申立てをする裁判所
(3) 必要書類
未成年後見人選任の申立ての必要書類は、裁判所のWebサイト(未成年後見人選任)によれば次のとおりです。ただし、申立書および戸籍謄本などの添付書類に加えて、各裁判所が定めている書式への記入も求められると思われます。
たとえば、千葉家庭裁判所ならば、未成年後見人選任申立ての書式のページに、必要な書類がすべて掲載されています(申立事情説明書、後見人候補者事情説明書、親族関係図、未成年者の収支予定表、未成年者の財産目録、遺産目録)。また、東京家庭裁判所であれば、未成年後見人選任の申立てのページにあります。
これらの書式への記入をすべてご自分でおこなうことができれば裁判所への申立てをすることができますが、ご自分で記入するのが難しい場合には、書類作成および裁判所への提出を司法書士におまかせいただくことができます。
未成年後見人選任の申立ての必要書類
- 未成年後見人選任申立書
- 未成年者の戸籍謄本
- 未成年者の住民票または戸籍附票
- 未成年後見人候補者の戸籍謄本
- 未成年者に対して親権を行うものがないこと等を証する書面(親権者の死亡の記載された戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本や行方不明の事実を証する書類等)
- 未成年者の財産に関する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書)、預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し、残高証明書等)等)
- 利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証する資料
- 親族からの申立ての場合、戸籍謄本(全部事項証明書)等
(4) 申立にかかる費用
未成年者1人につき以下の収入印紙と郵便切手が必要です。
- 収入印紙 800円
- 郵便切手 3600円(千葉家庭裁判所の場合)