法定相続人が2名以上いる場合、各相続人は、遺産に対して各人の法定相続分に応じた権利を持ちますが、これは遺産分割は法定相続分どおりにするのが原則であるという意味ではありません。
遺産分割協議においては法定相続分にこだわる必要はなく、相続人全員が合意するならばどのように遺産を分けても構いません。そして、相続人間の協議が整わない場合には、法定相続分が分割の基準になるということです。
法定相続人が2名以上いる場合、各相続人は、遺産に対して各人の法定相続分に応じた権利を持ちますが、これは遺産分割は法定相続分どおりにするのが原則であるという意味ではありません。
遺産分割協議においては法定相続分にこだわる必要はなく、相続人全員が合意するならばどのように遺産を分けても構いません。そして、相続人間の協議が整わない場合には、法定相続分が分割の基準になるということです。
遺産分割の方法の選択に関する基本原則は現物分割です。現物分割が難しい場合には代償分割を検討し、代償分割もできない場合に換価分割を検討します。遺産を共有のまま取得する共有分割は最後の手段だといえます。大阪高決平成14年6月5日で、遺産分割の方法について次のような判断が示されていますので、参考までにご紹介します。
ただし、遺産分割協議においては、相続人の全員が合意するならばどの遺産分割方法を採るかは自由であり、現物分割が可能な場合であっても、不動産を共有取得することも可能です。上記分割方法の優先順位は、相続人間に分割方法についての争いがある場合に、審判になれば、この順序で分割方法が検討されるということです。
遺産分割は、共有物分割と同様、相続によって生じた財産の共有・準共有状態を解消し、相続人の共有持分や準共有持分を、単独での財産権行使が可能な権利(所有権や金銭等)に還元することを目的とする手続であるから、遺産分割の方法の選択に関する基本原則は、当事者の意向を踏まえた上での現物分割であり、それが困難な場合には、現物分割に代わる手段として、当事者が代償金の負担を了解している限りにおいて代償分割が相当であり、代償分割すら困難な場合には換価分割がされるべきである。
共有とする分割方法は、やむを得ない次善の策として許される場合もないわけではないが、この方法は、そもそも遺産分割の目的と相反し、ただ紛争を先送りするだけで、何ら遺産に関する紛争の解決とならないことが予想されるから、現物分割や代償分割はもとより、換価分割さえも困難な状況があるときに選択されるべき分割方法である。
また、遺産分割の基準については、民法906条で次のとおり定められています。
(遺産の分割の基準)
第906条 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。
しかしながら、遺産分割をするに当たって、民法906条による遺産分割の基準が最優先されるということはなく、最判昭和30年5月31日で次のような判断が示されています。
遺産の共有及び分割に関しては、共有に関する民法256条以下の規定が第一次的に適用せられ、遺産の分割は現物分割を原則とし、分割によつて著しくその価格を損する虞があるときは、その競売を命じて価格分割を行うことになるのであつて、民法906条は、その場合にとるべき方針を明らかにしたものに外ならない。
民法256条では「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる」としています。そして、258条2項で「共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる」と定められています。
(共有物の分割請求)
第256条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から5年を超えることができない。
(裁判による共有物の分割)
第258条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。