過払い金の返還請求権は、10年間で時効により消滅します。よって、消費者金融やクレジット会社に対する過払い金の返還請求は、取引が終了したときから10年間はおこなうことができることになります。この取引は借入または返済がおこなわれる限りは続いており、支払いが完了(完済)したときに通常は取引が終了すると考えて良いでしょう。
1.取引が続いている(返済中の)場合
完済して借入残高がゼロにならない限り取引が終了することはないのですから、取引が続いている限りは何年前でもさかのぼって過払い金請求することが可能です。実際にも、10年以上も前の取引開始時からの過払い金についての返還を受けることも、決して珍しい話ではありません。
そんな昔の取引内容については良く覚えていなくとも当然ですが、司法書士から相手方(消費者金融、クレジット会社など)に請求することで、全ての借入と返済についての取引履歴(取引明細)を出してもらうことができますから問題ありません。
たとえば、20年前にある消費者金融(サラ金)から最初の借入をして以来、現在に至るまで借入と返済をずっと続けてきたが、今も借入残高が100万円あるとします。このようなケースでは、相手方から取引履歴を出してもらい法定利息による再計算をおこなうと、100万円の債務元本が消滅するだけで無く、さらに100万円の過払い金が発生しているということも珍しくありません。
この場合、司法書士に依頼する前の借入残高である100万円を返済する必要が無いのは当然として、さらに100万円を返してくれと相手方に請求できます。つまり、借金が消滅するのに加えて、さらにお金が戻ってくるわけです。これが、いわゆる過払い金請求です。
2.取引が終了している(完済後の)場合
借金を完済し、取引が終了している場合であっても過払い金請求できます。何年も前に解約してしまっているような場合でも大丈夫です。返金の対象となる過払い金は、最初の借入から完済のときまでの全ての取引から生じたものです。
もし、いったん完済していたとしても、それほど間を置かずに再び借り入れをしている場合には、完済前も含めて取引はずっと続いていると考えられます。したがって、最初の借入から、完済のときまでの全ての取引について過払い金請求ができることになります。
しかし、完済後に取引(再借入)をしていない場合には、完済した時点で取引が終了していたと判断される可能性があります。この場合、完済したときから10年が経過すると過払い金返還請求権が時効になってしまうことがあるので注意が必要です。また、10年以上前に一度完済して、その後に再借入をした場合、一度完済したときに発生していた過払い金の返還を受けられるかが問題になることもあります。