(最終更新日:2025年1月28日)
このページでは不動産が2名以上の共有名義になっている場合に、その共有者のうちの1人が死亡したときには、その共有持分は誰のものになるのか。死亡した共有者に相続人がいる場合と、相続人が不存在である場合にわけて解説しています。
相続登記(不動産の名義変更)、相続財産清算人の選任などの手続きについては、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)にご相談ください。当事務所へのご相談は予約制ですので、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧になって事前にご連絡くださいますようお願いします。
相続人の不存在と、共有者への持分の帰属(目次)
1.亡くなった共有者に相続人がいるとき
2.死亡した共有者が相続人不存在の場合
3.特別縁故者に対する相続財産の分与
4.相続財産清算人の選任
5.相続財産清算人による相続分の譲渡(参考)
6.共有者に対する遺贈、生前贈与
1.亡くなった共有者に相続人がいるとき
不動産が共有名義になっている場合で、その共有者の1人が亡くなったとき、その共有持分は誰に引き継がれるのでしょうか。
まず、共有不動産であっても、亡くなった方に相続人がいれば、通常どおり相続の対象となります。つまり、死亡した共有者の相続人がその共有持分を相続し、新たな共有者となるわけです。
上記のとおりなので、不動産が他者との共有だったからといって、共有者がその不動産について特別な権利を持つことはありません。
たとえば、相続人ではない共有者の名義に直接変更することはできませんし、誰が不動産を相続するかを決めるのにあたっても共有者の同意などは不要であるわけです。
2.死亡した共有者が相続人不存在の場合
それでは、死亡した共有者に相続人がいないときはどうでしょうか。
共有者がいないというのは、相続人がそもそも存在しない場合だけでなく、相続人の全員が相続放棄している場合も含まれます。
この場合、民法255条によれば、不動産の共有者が死亡して相続人がいないとき、その持分は他の共有者に帰属するとされています。
民法第255条 (持分の放棄及び共有者の死亡)
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
上記の規定により、不動産を2人が2分の1ずつの割合で共有していたとして、共有者の1人が死亡して相続人がいないときには、もう1人の共有者にその持分の所有権が移るわけです。
したがって、共有の状態が解消され、その不動産を単独で所有することとなります。
3.特別縁故者に対する相続財産の分与
ただし、共有者が死亡し、戸籍上の相続人が存在しなかったとしても、ただちに民法255条の規定が適用されるわけではありません。
戸籍上の相続人がいない場合であっても、相続債権者や受遺者に対する弁済、特別縁故者に対する財産分与を先におこなう必要があるのです。
(相続財産の清算人の選任)
第952条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。
2 前項の規定により相続財産の清算人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なく、その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、6箇月を下ることができない。
(権利を主張する者がない場合)
第958条 第952条第2項の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の清算人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。
(特別縁故者に対する相続財産の分与)
第958条の2 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、第952条第2項の期間の満了後3箇月以内にしなければならない。
民法255条だけを読めば、戸籍上の法定相続人が存在しないときには、すぐにその持分が他の共有者に帰属するように思えます。
ところが、下記の最高裁判決により、戸籍上の相続人が存在しないときであっても、相続債権者や受遺者がおらず、特別縁故者への財産分与もおこなわれなかった場合(または、財産分与等をおこなっても、不動産の共有持ち分が相続財産の中に残っていた場合)にはじめて、民法255条の規定が適用になると判断されているのです。
共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その共有持分は、他の相続財産とともに、民法958条の3の規定に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされず、当該共有持分が承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときにはじめて、民法255条により他の共有者に帰属することになると解すべきである(最高裁平成1年11月24日判決)。
4.相続財産清算人の選任
したがって、戸籍上の法定相続人が存在しない場合で、不動産の持分を共有者に帰属させようとするときは、まず、家庭裁判所へ相続財産清算人の選任申立をしなければなりません。
相続財産清算人の選任では、数十万円から100万円程度の予納金を収める必要があることもあり、また、裁判所への申立から手続き終了まで通常1年程度はかかると思われます。
このように、相続財産管理の手続きをするには費用も時間もかかってしまうのですが、相続人不存在の場合に、共有不動産の持分を他の共有者に帰属させるためには、どうしても必要な手続きであるわけです。
5.相続財産清算人による相続分の譲渡(参考)
ここまで解説してきたような、もともと不動産が共有名義であった場合とは異なりますが、数次相続により相続人が多数になっている場合に、その相続人のうちの1人が死亡し相続人不存在の状態になっているときについての、相続登記などの手続きを取り扱ったことがあります。
長年にわたり相続登記をしていないため、不動産は被相続人名義のままであるものの、その相続分を持っていた相続人が死亡し相続人不存在の状態になっていたわけです。
相続財産清算人選任の申立てをするのにあたって、民法第255条の規定による共有持分の帰属によるならば、下記のような流れによるしかないかと考えていました。
- 法定相続による相続登記により、相続人全員の共有名義にする。
- 相続財産清算人が選任された後に、相続人不存在である相続人の共有持分について、相続財産法人の名義とする所有権登記名義人氏名変更の登記をする。
- 特別縁故者不存在確定を原因とする、他の相続人への持分全部移転登記をする。
ところが、このときの手続きでは、相続財産清算人が裁判所から権限外行為許可の審判を受け、相続財産法人の相続分全部が相続人中の1人に無償譲渡されました。
これにより、他の共同相続人により遺産分割協議を成立させることが可能となり、遺産分割協議による相続登記により、相続人中の1人の名義にすることができたのです。
なお、このケースでは相続財産が少額な不動産の持分だけだったこともあり、相続財産法人の相続分全部を無償譲渡するとの方法が採れたのだと思われます。
また、この場合でも相続財産清算人選任の申立ては必要ですから、登記の方法が違うだけであるともいえます。
ただし、当事務所で扱ったケースでは、数次相続を繰り返していることで共同相続人の数が非常に多くなっていたため、相続財産清算人による相続分の譲渡ができたことで、登記手続きにかかる手間や労力が大幅に少なく済むこととなりました。
・相続財産清算人による相続分譲渡からの相続登記
6.共有者に対する遺贈・生前贈与
不動産の共有者に相続人となる人が存在しない場合であっても、生前に対策をしておけば、共有者などに対して不動産を引き継がせることが可能です。
まず考えられるのは、生前に遺言書を作成しておくことです。共有者に対して持分全部を遺贈する旨の遺言をしておけば、遺言者の死亡後に遺贈による所有権移転登記をすることができます。
さらに、生前に贈与や売買をすることにより、共有関係を解消しておくことも検討するべきでしょう。
生涯独身だったり、結婚していても子どもがいなかったりすることで、亡くなられた方に相続人がいないケースが多くなっています。後で厄介なことにならないよう、早いうちから対策をとっておくことが重要です。
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