相続手続きのよくある質問

相続手続きにおいてよく出るであろう質問に答えています。できるだけ分かりやすくするため、ごく一般的なご家庭における相続を念頭に、あくまでも概要についての解説となっています。そのため、あえて記述を省いていたり、厳密にいえば正しくない箇所もあります。実際に手続きをするに当たっては、各専門家や役所などに確認をするようにしてください。

1.相続税関連

1-1.相続税の申告は必要ですか

1-2.相続時精算課税の適用を受ける贈与とは

1-3.相続税がかからない非課税財産とは

1-4.法定相続人とは

1-5.配偶者の税額の軽減

1-6.小規模宅地等の特例

1.相続税関連

1-1.相続税の申告は必要ですか

相続税がかかる可能性があるのは、相続財産の合計額が、基礎控除額を超えている場合です。平成27年1月1日以降に相続が開始(被相続人が死亡)したときの基礎控除額は3,000万円プラス法定相続人1人あたり600万円です。

たとえば、配偶者と子2人が法定相続人であるとすれば、基礎控除額は4,800万円です(3,000万円 + 600万円 × 3 )。したがって、相続財産の合計額が4,800万円を絶対に超えていないというのであれば相続税はかかりません。この場合には、相続税の申告自体が不要です。

(相続財産に含まれるものについて)

ここで解説している相続財産の合計額は、「正味の遺産額」です。

正味の遺産額は、遺産総額と相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の合計から、非課税財産葬式費用及び債務を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産を加えたものになります。

1-2.相続時精算課税の適用を受ける贈与とは

相続時精算課税の適用を受ける贈与があったかどうかが問題になるのは、被相続人から生前贈与を受けてていた場合に限られます。生前贈与がなかったならば、相続時精算課税の適用を受ける贈与について考える必要はありません。

また、生前贈与を受けていたとしても、相続時精算課税の適用を受けていなければ、相続税の計算には関係ありません。相続時精算課税の適用を受けていない、原則的な贈与税の課税方法は暦年課税です。

なお、相続時精算課税選択の特例の適用を受けているとすれば、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、相続時精算課税選択の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書などを税務署に提出しているはずです。

1-3.相続税がかからない非課税財産とは

相続税がかからない財産のうち主なものは次のとおりです。

  • 墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしているもの
  • 国、地方公共団体、特定の公益法人などに寄附した財産
  • 生命保険の死亡保険金のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額まで
  • 死亡退職金のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額まで

1-4.法定相続人とは

法定相続人は民法によって定められています。

まず、被相続人に配偶者(夫、妻)がいるときは、その配偶者は必ず相続人になります。そして、被相続人の子、直系尊属(父母、祖父母)、兄弟姉妹などが、次の順位で配偶者とともに相続人になります。

第1順位 被相続人の子
第2順位 被相続人の直系尊属(父母、祖父母、曽祖父母 ・・・)
第3順位 被相続人の兄弟姉妹

前の順位の相続人がいるときは、次順位の人が同時に相続人になることはありません。つまり、被相続人に子が1人でもいれば、直系尊属や兄弟姉妹は相続人になりません。

上記の他、相続人になるはずだった子が、被相続人よりも先に亡くなっている場合など、その子の子(被相続人の孫)が相続人になることがあります(代襲相続)。また、被相続人の兄弟姉妹についても代襲相続が生じることもあります。

(法定相続人の数についての注意)

基礎控除額の計算にあたっては、被相続人に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までとなります。

養子の相続権は実子と同等であり、養子が何人いたとしても全員が法定相続人であることは当然です。しかし、基礎控除額の計算においては法定相続人の数に含められる数に制限があるということです。

1-5.配偶者の税額の軽減

正味の遺産額が基礎控除額を超えているときには相続税がかかるのが原則ですが、被相続人の配偶者が遺産を相続する場合には相続税の税額が軽減されます。

具体的には配偶者の税額の軽減により、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかかりません。

(1) 1億6千万円
(2) 配偶者の法定相続分相当額

上記により正味の遺産額が1億6千万円までの場合には、配偶者が遺産の全てを相続するとの遺産分割をおこなえば、相続税はかからないことになります。

ただし、配偶者の税額軽減を受けるためには相続税の申告をしなければなりません。相続税はかからないものの、相続税の申告はする必要があるわけです。
この申告は、税額軽減の明細を記載した相続税の申告書等に戸籍謄本と遺産分割協議書の写し(印鑑証明書も添付)等、配偶者の取得した財産が分かる書類を添えて税務署に提出します。

配偶者の税額の軽減を考慮しての遺産分割をする際には、2次相続のことも考える必要があります。たとえば、夫の相続の際に配偶者の税額軽減を最大限に受けることで、相続税がかからなかったとします(1次相続)。その後に妻が死亡した際には配偶者の税額軽減は使えませんから、この2次相続のときに相続人が支払うべき相続税が高額になってしまうことがあります。

相続税の支払いを最小限にするためには、配偶者の一方についての遺産分割の際に、次の相続(2次相続)のことも考慮して各相続人の相続分を決めるべきです。

1-6.小規模宅地等の特例

個人が相続した財産のうち、その相続の開始の直前において「被相続人等の事業の用に供されていた宅地等」または「被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」のうち、小規模宅地等については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。この特例を小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます。

たとえば、相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた、「特定居住用宅地等に該当する宅地等」については、限度面積330平方メートルまで80%が減額されます。

特定居住用宅地等に該当する宅地等であるかは、相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等を、被相続人の配偶者が相続するときには無条件で適用されます。また、被相続人と同居していた親族が相続するときには、相続開始の時から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつその宅地等を相続税の申告期限まで有している人であることが、特定居住用宅地等に該当する宅地等であるための要件です。

なお、相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。


司法書士高島一寛

千葉司法書士会 登録番号第845号

簡裁訴訟代理関係業務 認定番号第104095号

(もっと詳しい司法書士紹介のページはこちら

(略歴)
・1989年 千葉県立小金高等学校卒業
・1993年 立教大学社会学部卒業
・2000年 司法書士試験合格
・2002年 松戸市で司法書士高島一寛事務所を開設

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松戸市の高島司法書士事務所は2002年2月の事務所開業から20年以上の長期にわたり、ホームページやブログからお問い合わせくださった個人のお客様からのご相談を多数うけたまわってまいりました。

当事務所の新規開業から2023年末までの相続登記(相続を原因とする所有権移転登記)の申請件数は1200件を超えています。


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