財産分与による不動産(土地、家、マンションなど)の所有権移転登記(名義変更)は、不動産登記の専門家である司法書士にご相談・ご依頼ください。
司法書士へ財産分与による所有権移転登記ご依頼くださった場合、登記申請書、委任状を含めた必要書類の作成をすべておまかせいただけます。したがって、ご依頼者様が登記申請書や委任状の作成について知る必要は無いのですが、記載例をご参考までに掲載します。
なお、ここに掲載する財産分与登記申請書は、紙の申請書の例です。司法書士が財産分与登記の申請をする際は、オンライン申請によるのが通常ですから、この例のような遺贈登記申請書を使用しているわけではありません。オンラインではなく書面申請するのであれば、このような登記申請書になるという参考例です。
不動産登記申請書は、A4用紙に横書きで作成します。用紙が2枚以上になる場合は、割印(契印)が必要です。下記は協議離婚による場合の登記申請書の記載例です。財産分与を受ける方(被分与者)が登記権利者、財産分与する方(分与者)が登記義務者となり共同で登記申請をおこないます。
登記申請書
登記の目的 所有権移転
原因 平成24年 1月 ○日 財産分与
権利者 東京都千代田区神田小川町三丁目○番○号
甲野 花子
義務者 東京都中央区日本橋本町一丁目○番○号
乙野 一郎
添付書類 登記識別情報(または、登記済証) 登記原因証明情報
印鑑証明書 住所証明書 代理権限証書
平成24年 7月 ○日申請 東京法務局 御中
代理人 千葉県松戸市松戸1176番地の2
司法書士 高島 一寛 (印)
連絡先の電話番号 047-703-3201
課税価格 土地 金1,000万円
建物 金500万円
登録免許税 金30万円
内訳 土地 金20万円
建物 金10万円
不動産の表示
不動産番号 0402000012345
所在 松戸市松戸
地番 1176番2
地目 宅地
地積 100平方メートル
不動産番号 0402000012346
所在 松戸市松戸1176番地2
家屋番号 1176番2
書類 居宅
構造 木造瓦葺2階建
床面積 1階50平方メートル 2階50平方メートル
記載内容についての注意事項
1.登記の目的
不動産(土地・建物)を分与者(現在の所有者)が単独で所有している場合には「所有権移転」と書きます。共有であれば「(分与者の氏名)持分全部移転」となるので、本例であれば、乙野一郎持分全部移転と書きます。
2.原因
登記原因は「財産分与」です。登記原因の年月日は、財産分与の協議が成立した日となります。ただし、協議離婚による場合で、離婚届提出前に財産分与協議が成立していたときには、離婚の日(離婚届提出日)が財産分与の原因年月日です。
3.権利者
被分与者(財産分与を受ける方)の住所氏名を、住民票の記載どおりに書きます。持分の移転の場合には、下記のように、氏名の前に持分を書きます。
権利者 東京都千代田区神田小川町三丁目○番○号
持分2分の1 甲野 花子
4.義務者
分与者(財産分与をする方)の住所氏名を書きます。分与者の印鑑証明書記載の住所と、登記簿上の住所とが相違する場合には、事前に所有権登記名義人住所変更登記が必要です。また、氏名が異なる場合も、所有権登記名義人氏名変更登記をします。
5.添付書類
・登記識別情報(登記済証) 分与者が所有権を取得した際のもの
・登記原因証明情報
・印鑑証明書 分与者のもの。発行後3ヶ月以内
・住所証明書 被分与者の住民票(または、戸籍の附票)
・代理権限証書 被分与者(登記権利者)、分与者(登記義務者)から登記申請代理人(司法書士)への委任状。
6.課税価格、登録免許税
課税価格は不動産の固定資産評価額です(1,000円未満の金額は切り捨て)。登録免許税額は課税価格の1000分の20(2%)です(100円未満の金額は切り捨て)。
7.不動産の表示
不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)に書かれているとおり正確に記載します。マンション(敷地権付区分建物)の場合の記載例は次のとおりです。
不動産の表示
一棟の建物の表示
所在 我孫子市我孫子一丁目1番地1
建物の名称 我孫子マンション
専有部分の建物の表示
不動産番号 0424001211111
家屋番号 我孫子一丁目1番1の1000
建物の名称 1000
種類 居宅
構造 鉄筋コンクリート造1階建
床面積 20階部分 100.00㎡
敷地権の表示
所在及び地番 我孫子市我孫子一丁目1番1
地目 宅地
地積 30000.00㎡
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 4000000分の10000
(注)登記事項証明書の表題部(一棟の建物の表示)に、「建物の名称」(本例では我孫子マンション)が記載されている場合には、一棟の建物の表示の「構造」、「床面積」を省略できます。建物の名称が登記されていなければ、原則どおり全てを記載する必要があります。
(参考)夫婦で共有だった場合の、登記権利者の住所氏名について
夫婦で共有していた不動産を、財産分与により所有権移転するときには、登記権利者(被分与者)の登記名義人住所(氏名)変更を事前におこなっておくべき場合があります。
離婚にともない苗字(姓)が変わったり、引っ越しをしたときには、登記簿上の住所氏名と財産分与による所有権移転登記をするときの住所氏名とが異なることになります。
この場合、財産分与による所有権移転登記をする前に、登記名義人住所(氏名)変更の登記をしておかないと、同一人物であるにもかかわらず住所氏名が異なることになってしまうからです。
登記申請の委任状には、絶対にこう書かなくてはならないとの決まりはありませんが、委任事項を漏らさずに記載することが大切です。また、登記識別情報通知書を代理人が受領するには、その旨の委任も必要です。
委任状
千葉県松戸市松戸本町○○番地
流山 一郎
私は、上記の者を代理人と定め、下記の不動産登記申請に関する一切の権限、及び登記識別情報通知を受領する権限を委任する。
1.登記の目的 所有権移転
2.原因 平成24年 1月 ○日 財産分与
3.権利者 東京都千代田区神田小川町三丁目○番○号
甲野 花子
4.義務者 東京都中央区日本橋本町一丁目○番○号
乙野 一郎
5.不動産の表示 後記記載の通り
平成24年 7月 ○日
委任者 東京都千代田区神田小川町三丁目○番○号
甲野 花子 (印)
委任者 東京都中央区日本橋本町一丁目○番○号
乙野 一郎 (印)
不動産の表示
不動産番号 0402000012345
松戸市松戸1176番2の土地
不動産番号 0402000012346
松戸市松戸1176番地2 家屋番号 1176番2の建物