相続登記義務化のポイント
・2024年(令和6年)4月1日から、相続登記(相続による不動産の名義変更)が義務化されます。相続登記の期限は、相続開始から3年以内となるのが通常です。
・相続登記の義務化の対象となるのは、これから新たに相続する不動産だけでなく、義務化される以前に相続している不動産も含まれます。
・相続登記の申請義務に正当な理由なく違反した場合には10万円以下の過料の適用対象となります。
このページでは相続登記の申請義務化について詳しく解説していますが、不動産登記の専門家ではない一般の方には難しい記述もあるはずです。
最低限知っておくべきなのは、「不動産を所有している人が亡くなられたときには、3年以内に相続登記(名義変更)をしなければならない」ということ。そして、「相続登記の相談をすべき専門家は司法書士」ということがお分かりいただければ大丈夫です。
相続登記のことなら何でも千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅徒歩1分)にご相談ください。当事務所では2002年2月の事務所開業から20年以上の長期にわたり、ホームページやブログをご覧になってお問い合わせくださった個人のお客様からのご依頼を多数うけたまわってまいりました。
高島司法書士事務所へ相続登記の相談をする際は、とくに事前の準備をする必要はありません。まずはご相談にお越しいただければ、初回無料相談の際に、費用のお見積もりと、必要書類や手続きの流れについて分かりやすくご説明いたします。
ご相談は事前予約制なので、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧になって事前にご連絡くださいますようお願いいたします。また、当事務所への相談をご検討の際は、相続登記のご相談のページもぜひご覧ください。
以下は、相続登記の義務化について詳しく解説しています。高島司法書士事務所(千葉県松戸市)へご相談いただく際には、とくにお読みいただかなくとも問題ありませんが、必要なところや興味のある箇所だけご覧ください。
相続登記の義務化や申請期限など
1.相続登記義務化について分かりやすく
2.相続登記が義務化された理由など
3.相続登記の申請の期限
3-1.3年の期限はいつスタートするのか
3-2.遺産分割協議をしていない場合の期限
3-3.令和6年4月1日より前の相続も義務化の対象
4.相続人申告登記
5.相続登記をしない「正当な理由」について
6.所有権登記名義人住所(氏名)等の変更登記申請の義務化
7.改正後不動産登記法(参考)
8.高島司法書士事務所(松戸市)にご相談ください
9.お問い合わせ・ご相談予約について
1.相続登記義務化について分かりやすく
令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されます。
不動産の所有権登記名義人について相続の開始があったときは、その相続により所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権移転登記を申請しなければなりません。
この3年以内の相続登記申請義務は、遺産分割協議に基づく相続登記の他、遺言の内容に基づく所有権移転登記も対象となります。
また、相続登記の申請が義務化されることにより、遺産分割協議が成立した場合には、その協議成立の日から3年以内に所有権移転登記の申請をしなければならないものとされます。
ただし、これは遺産分割協議が成立する前に、法定相続による相続登記をしている場合、または、相続人申告登記をしている場合についての規定ですので、遺産分割協議をしないでいれば3年の期限を先延ばしに出来るというものではないので注意が必要です。
正当な理由なく相続登記の申請義務に違反した場合は10万円以下の過料の適用対象となります。
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2.相続登記が義務化された理由など
不動産を所有している方が亡くなられた場合でも、相続登記(相続による不動産の名義変更)をするかどうかは、相続人の任意でした。
現実には、相続登記をしないままでいれば、後になって不都合が生じることがあるとしても、相続登記をするのは義務ではなく登記すべき期限も存在しなかったため、ご自宅が亡くなられたご家族名義のままになっているケースも多くありました。
そのため、不動産の登記簿(登記事項証明書)を見ても、誰が所有者であるか分からない土地(所有者不明土地)や、相続登記をしようにも相続人が増えすぎて手続きが困難になる土地が多くなり、日本全国で様々な問題が生じるようになっています。
この問題解決のため令和3年に法律(不動産登記法)が改正され、これまで任意だった相続登記が義務化されることとなったのです(改正法の施行は令和6年4月1日)。
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3.相続登記の申請の期限
3-1.3年の期限はいつスタートするのか
相続登記の申請をしなければならないのは、「自己のために相続の開始があったこと」を知り、かつ、「その所有権を取得したこと」を「知った日から3年以内」とされています。
そのため、「被相続人と疎遠だったため死亡の事実を知らなかった」とか、「死亡したのは知っていたが不動産を所有していたのを知らなかった」というような場合には、それらの事実を知ったときから3年の期限がスタートすることになります。
しかしながら、同居のご家族が所有していた自宅不動産(土地家屋、マンションなど)についての相続など、上記のような特別な事情が存在しない場合においては、相続開始(不動産所有者が亡くなられた日)から3年以内が相続登記の申請期限になるのが通常です。
よって、被相続人が遺言書を作成しておらず、相続人が2名以上いる場合には、相続開始から3年以内に遺産分割協議をし、相続登記の申請をしなければならないのが原則であることとなります。また、遺言により不動産を取得したときには、遺言により不動産を相続したのを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
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3-2.遺産分割協議をしていない場合の期限
この度の法律改正では、遺産分割協議が成立した場合についての相続登記の申請期限について定めもありますが、この規定は遺産分割協議が成立する前に、法定相続による相続登記をしていたときまたは、相続人申告登記をしていたときについての規定です。具体的には次のような場合を指します。
- 遺産分割協議が成立するまでに時間がかかりそうなときに、相続開始から3年以内に法定相続による相続登記、または、相続人申告登記をすることで相続登記の申請義務を履行しておく。
- その後、遺産分割協議が成立したときには、遺産分割協議が成立した日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない。
そのため、ただ単に相続人の間で遺産分割についての話し合いをしていないというような場合には、相続登記の申請義務は相続開始時から3年以内であるのが原則です。よって、遺産分割協議をしないでいれば3年の期限を先延ばしに出来るというものではないので注意が必要です。
ただし、相続登記をしないことに正当な理由がある場合には、過料の適用対象外となります。この正当な理由として、「相続登記の義務に係る相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合」があるので、正当な理由により遺産分割協議が成立しない場合には3年が経過しても過料の適用対象にならないこともあり得ます。
それでも、今後新たに開始する相続であるのに、「相続人が極めて多数に上り・・・」というようなケースはごく稀であるはずです。過料適用の対象外となる正当な理由については、このページの後に相続登記をしない「正当な理由」についての解説があります。
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3-3.令和6年4月1日より前の相続も義務化の対象
令和6年4月1日より前に相続した不動産についても、相続登記の申請義務化の対象となります。よって、相続が開始しているものの、現時点で相続登記をしていない不動産についても、すべて相続登記の申請をする義務があることになります。
ただし、この場合の相続登記については3年間の猶予期間があります。この猶予期間は「令和6年4月1日から3年」、または「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年」となります。
今までは相続登記をするのが義務ではなかったため、所有権の登記名義人が亡くなってから何十年も経過しているが相続登記をしていないという不動産も数多く存在します。そのような場合、相続人であった方が更に亡くなられたことなどにより、相続人となる当事者が多くなり過ぎて手続きが困難になっているかもしれません。
そのような場合であっても、なんとか相続登記の手続きを進めていけるように努めていく必要があります。どのように手続きを進めていくべきか、また、費用がどのくらいかかるのかなど、まずは司法書士にご相談ください(千葉県松戸市の高島司法書士事務所へのご相談はこちらからどうぞ)。
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4.相続人申告登記
相続登記の申請義務を履行するための方法として、相続登記(相続による所有権移転登記)の申請をする他に、相続人申告登記をすることもできます。
- 相続登記の申請義務化により所有権移転登記申請する義務を負う相続人は、登記官に対し所有権の登記名義人について相続が開始した旨および自らがその所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出ることができます。
- 相続登記の申請義務についての3年の期間内に上記の申出をした相続人は、相続による所有権移転登記を申請する義務を履行したものとみなされます。
相続人申告登記の手続きは、相続登記と比べて簡略化したものとなります。たとえば、申出をする人が登記簿上の所有者(被相続人)の相続人であることを確認することができる範囲の戸籍等があれば、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍等の提出は不要となります。
ただし、相続人申告登記は、申出をした相続人についてのみ、相続登記の申請義務を履行したものとみなされるので、相続人の全員が義務を履行したとみなされるには、相続人全員がそれぞれ申出をする必要があります(複数人分の相続人による申出をまとめてすることは可能です)。
また、相続人申告登記をした場合でも、その後に遺産分割協議が成立したときには、その協議成立の日から3年以内に相続登記をしなければなりませんし、相続した不動産を売却したり抵当権の設定をしたりするような場合には、相続登記をする必要があります。
つまり、相続人申告登記は相続登記の義務の履行期限が迫っている場合などに、その義務を果たすために利用することが想定されているものであり、相続申告登記をしておけばそれで大丈夫というようなものではありません。まずは、3年の期限内に相続登記をおこなえるよう手続きを進めていくべきです。
・相続人申告登記についての解説ページ
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5.相続登記をしない「正当な理由」について
相続登記の申請をすべき義務がある相続人が、正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処するとされていますが、この正当な理由について、法務省による「相続登記の申請義務化に関するQ&A」のページで次のように書かれています。
相続登記の義務の履行期間内において、次の(1)から(5)までのような事情が認められる場合には、それをもって一般に「正当な理由」があると認められます。
もっとも、これらに該当しない場合においても、個別の事案における具体的な事情に応じ、登記をしないことについて理由があり、その理由に正当性が認められる場合には、「正当な理由」があると認められます。
(1) 相続登記の義務に係る相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合
(2) 相続登記の義務に係る相続について、遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合
(3) 相続登記の義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合
(4) 相続登記の義務を負う者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第2項に規定する被害者その他これに準ずる者であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合
(5) 相続登記の義務を負う者が経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合
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6.所有権登記名義人住所(氏名)等の変更登記申請の義務化
所有権登記名義人の氏名や住所についての変更があったときの、所有権登記名義人氏名(住所)等の変更登記申請も義務化されることとなります(改正不動産登記法76条の5、施行日は令和8年4月1日)。
不動産の登記簿(登記情報)には、不動産所有している人の住所と氏名(法人の場合は(法人の場合は本店と商号)が記載されています。引っ越しや結婚(離婚)などにより住所や氏名が変わっても、この登記されている住所や氏名)が自動的に変更されるわけではなく、登記名義人住所(または氏名)変更の登記を申請する必要があります。
これまでは、登記名義人住所(または氏名)変更の登記を申請するのは義務でなかったため、ずっと前に引っ越しをしたが登記されている住所は昔のままというケースも多くありました。それが、相続登記が義務化されるにともなって、登記名義人住所(または氏名)変更の登記申請も義務化されることとなったのです。
なお、この改正法の施行は2026年(令和8年)4月1日ですが、それ以前に住所氏名などが変更になっている場合も所有権登記名義人住所(氏名)変更の登記申請義務化の対象となります。
(所有権の登記名義人の氏名等の変更の登記の申請)
改正後不動産登記法第76条の5(令和8年4月1日施行)
所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から2年以内に、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記を申請しなければならない。
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7.(参考)改正後不動産登記法
改正後不動産登記法(令和6年4月1日施行)
(相続等による所有権の移転の登記の申請)
第76条の2 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。
2 前項前段の規定による登記(民法第900条及び第901条の規定により算定した相続分に応じてされたものに限る。次条第四項において同じ。)がされた後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
3 前2項の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、当該各項の規定による登記がされた場合には、適用しない。
(相続人である旨の申出等)
第76条の3 前条第1項の規定により所有権の移転の登記を申請する義務を負う者は、法務省令で定めるところにより、登記官に対し、所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出ることができる。
2 前条第1項に規定する期間内に前項の規定による申出をした者は、同条第1項に規定する所有権の取得(当該申出の前にされた遺産の分割によるものを除く。)に係る所有権の移転の登記を申請する義務を履行したものとみなす。
3 登記官は、第1項の規定による申出があったときは、職権で、その旨並びに当該申出をした者の氏名及び住所その他法務省令で定める事項を所有権の登記に付記することができる。
4 第1項の規定による申出をした者は、その後の遺産の分割によって所有権を取得したとき(前条第一項前段の規定による登記がされた後に当該遺産の分割によって所有権を取得したときを除く。)は、当該遺産の分割の日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
5 前項の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、同項の規定による登記がされた場合には、適用しない。
6 第1項の規定による申出の手続及び第3項の規定による登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。
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8.高島司法書士事務所(松戸市)にご相談ください
相続登記のことなら何でも千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅徒歩1分)にご相談ください。当事務所では2002年2月の事務所開業から20年以上の長期にわたり、ホームページやブログをご覧になってお問い合わせくださった個人のお客様からのご依頼を多数うけたまわってまいりました。
高島司法書士事務所(千葉県松戸市)が新規開業した2002年2月から2023年末までの間に、当事務所の司法書士高島一寛が代理人となり申請をおこなった相続登記の申請件数は合計1,235件となっております(この数は「相続を原因とする所有権移転登記」の申請件数のみで、遺贈、贈与、売買など他の登記原因による所有権移転登記の件数は含まれていません)。
相続登記のことなら多数の実績と実務経験がある、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅徒歩1分)にご相談ください。ご自宅(土地家屋、マンション)についての一般的な相続登記から、数次相続や代襲相続の関連する難しい相続登記についても安心してご相談いただけます。
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9.お問い合わせ・ご相談予約について
相続登記や、その他の遺産相続手続きのことで、わからない点やご相談などございましたら、お電話またはお問合せフォームから、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)へお気軽にご連絡ください。
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