親名義の不動産(土地、家、マンションなど)を子どもの名義に変更するときや、親子共有の不動産を子どもの単独名義に変更する場合などに贈与がおこなわれます(夫婦間の不動産贈与はこちら)。
不動産を贈与する際には、贈与契約書を作成し、名義変更(贈与による所有権移転)の登記をします。この一連の手続きは不動産登記の専門家である、司法書士にご相談・ご依頼ください(贈与登記の手続き・必要書類はこちら)。
財産の贈与をする際には、贈与税について事前に検討しておくことが大切です。親子の間でも、財産を無償でゆずり渡した場合には贈与税がかかるのが原則ですが、相続時精算課税を選択することなどにより贈与税を支払わずに済む場合もあります。
1.親子間の不動産贈与でかかる税金
親子間で不動産の贈与をした場合にかかる税金として、贈与税、不動産取得税の概要について解説します。また、贈与にともない名義変更(所有権移転登記)をする際には登録免許税がかかります。
このページは、親子間の不動産贈与でかかる税金について、できるだけ分かりやすく解説することを目的としています。実際に手続きをするにあたっては、国税庁によるタックスアンサー(贈与税)をご覧になるか、税理士、税務署へご確認ください(司法書士は税金に関する個別具体的なご相談に応じることはできません)。
1-1.贈与税(相続時精算課税)
1-2.不動産取得税
1-3.登録免許税
1-1.贈与税(相続時精算課税)
贈与者(財産をあげる人)と受贈者(財産をもらう人)とが次の要件に当てはまる場合には、暦年課税と相続時精算課税とのいずれかを選択することができます。
- 贈与者は、贈与をした年の1月1日において60歳以上の親又は祖父母
- 受贈者は、贈与者の推定相続人である贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の子または孫
(1) 相続時精算課税での「贈与税額」の計算
相続時精算課税を選択した場合、その年に贈与を受けた贈与財産の合計額から、2,500万円(特別控除額)を控除した後の金額の20%が贈与税額となります。したがって、贈与する財産が2,500万円までであれば贈与税はかからないことになります。
相続時精算課税が適用される贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありませんが、特別控除額の2,500万円は生涯を通じて贈与を受けた全ての財産についての合計額です。たとえば、今年1,500万円の贈与を受け、来年1,000万円の贈与を受ければ、それで特別控除額を使い果たすことになります。
(2) 相続時精算課税での「相続税額」の計算
贈与者(親)が亡くなったときには、贈与済みの財産の価額と、残された相続財産の価額の合計金額により計算した相続税額から、すでに納めた贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行います。したがって、相続時精算課税を選択して生前贈与を受けても、相続により遺産を引き継いだとしても納めるべき税額(贈与税と相続税の合計)に損得は無いように思えますが、ここで注意すべき点があります。
(3) 相続時精算課税を選択する際の注意事項
まず、相続税がかかる場合には、暦年課税による110万円の基礎控除を生かして複数回の贈与を行った方が相続税額を抑えることができます。暦年課税による贈与の場合、相続開始前3年以内のものを除き相続税の課税対象にならないため、相続財産そのものを減らせるからです。
また、相続税を計算する際の贈与財産の価額は贈与時の価額とされているため、贈与の後に財産の価額が下落した場合、相続時精算課税を選択したことによって支払うべき相続税額が増えてしまう場合もあります。
結局、相続税がかかる場合であって、相続時精算課税を選んだ方が得になるのは、「贈与財産の将来価値が大幅に上昇すると見込まれる」などのケースに限定されるといえます。
一方、相続税がかからない場合であって、生前贈与をする財産の価額が2,500万円までであれば、相続時精算課税を利用することによるデメリットは無いと考えられます。いったん相続時精算課税を選択してしまうと、後になって通常の課税方法(暦年課税)に変更できないので慎重な判断が必要です。
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1-2.不動産取得税
不動産取得税の税額は、土地および住宅については不動産の価格の3%です。不動産の価格は固定資産評価額によりますが、土地(宅地)については、評価額の2分の1が課税価格となります。
したがって、土地が1,000万円、家屋が300万円であれば、不動産取得税は24万円となります。
(1,000万円÷2+300万円)×3%=24万円…不動産取得税
ただし、一定の要件に当てはまる住宅、土地の贈与の場合には不動産取得税が軽減されます。そのため、ご自宅として住まわれている住宅の贈与では、不動産取得税がかからないか、かかっても少額で済むことも多いです。くわしくは、下記リンク先「不動産取得税の軽減(中古住宅、土地)」のページをご覧ください。
不動産取得税の軽減(中古住宅、土地)
1-3.登録免許税
不動産を贈与し、名義変更の登記(贈与による所有権移転)をする際には登録免許税がかかります。贈与による所有権移転登記の登録免許税額は、不動産の価額(固定資産評価額)の1000分の20(2%)です。
たとえば、不動産の固定資産評価額が1,000万円であれば、登録免許税は20万円となります。
・贈与による所有権移転登記の登録免許税額:1,000万円×2%=20万円
2.お問い合わせ・ご相談予約について
不動産の贈与登記(生前贈与)や、その他の不動産登記のことで、わからない点やご相談などございましたら、お電話またはお問合せフォームから、松戸の高島司法書士事務所へお気軽にご連絡ください。
登記費用のこと、必要書類のこと、手続きにかかる期間のこと、どんなことでも結構です(ただし、贈与税など税金についての個別具体的なご相談については、税理士または税務署へお願いします)。不動産登記についてのご相談はいつでも無料で承っております(無料相談は事務所にお越しいただくのが原則です)。
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