限定承認とは、相続人が、その相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務等を弁済するものとして、相続の承認をすることです。
ある人に相続が開始した場合、相続人が選択できるのは、単純承認、相続放棄、限定承認の3つです。単純承認では被相続人の権利義務を無限定に引き継ぎます。反対に、相続放棄をすれば被相続人の権利義務の一切を引き継ぎません。
これらに対し、限定承認では、被相続人の債務が相続財産を超えている場合でも、その相続財産の範囲内で債権者への支払いをすれば済みます。そして、全ての債務を支払っても残余財産がある場合に、その財産を引き継ぐことができるのです。
民法第922条(限定承認)
相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。
相続の限定承認をしようとするときは、相続人の全員により家庭裁判所へ限定承認の申述をしなければなりません(相続放棄した人を除く)。相続放棄は一部の相続人からでもできますが、限定承認は相続人全員でなければできないのです。また、限定承認の申述ができる期間は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内です。