相続人の資格を併有する人が相続の放棄をした場合の相続権についてです。
1つ目の「被相続人兄が弟を養子にしている場合」の先例は、いずれの相続人の資格をもって相続の放棄をしたものかが明らかではない場合における登記の取扱いを示したもので、この場合には、相続人の資格を併有する者の相続の放棄は、いずれの相続人の資格にも及ぶものとして取り扱うものとされています。
これに対し、2つ目の「配偶者及び妹としての相続人の資格を併有する場合」は、特定の相続人の資格をもって相続放棄をしたことが添付情報上明らかである場合であり、このときには、配偶者としての相続の放棄の効果は、妹としての相続人の資格には及ばないものとして取り扱うとされました。
1.被相続人兄が弟を養子にしている場合
相続関係は下図の通りで、被相続人であるAは、弟Cと養子縁組をしています。Aが死亡したときには、直系卑属(養子)であるCが第1順位の相続人になりますが、CはAの相続を放棄しました。
相続の放棄は相続人が自己のために開始した相続の効力を受けることを拒絶してその効力を消滅させる意思表示である。従って右のCの相続放棄はAに対する相続放棄であるから当然第一順位たる直系卑属として及び次順位たる兄弟としての相続権も放棄したものである(昭和32年01月10日 民事甲61)。
上記先例では、Cの相続放棄はAに対する相続放棄であるから当然第一順位たる直系卑属として及び次順位たる兄弟としての相続権も放棄したものであるとされています。これによれば、相続放棄したCがAの兄弟姉妹としての相続分を持つことはありませんから、弟BがAの遺産の全てを相続することになります。
2.配偶者及び妹としての相続人の資格を併有する場合
配偶者及び妹としての相続人の資格を併有する者から相続による所有権の移転の登記が申請され、相続を証する情報として、戸(除)籍の謄本及び相続放棄申述受理証明書のほか、配偶者として相続の放棄をしたことを確認することができる相続放棄申述書の謄本及び妹としては相続の放棄をしていない旨記載された印鑑証明書付きの上申書が提供された場合、配偶者としての相続の放棄の効果は、妹としての相続人の資格には及ばないものとして取り扱う(平成27年9月2日 民二363)。
相続放棄をする際に家庭裁判所へ提出する相続放棄申述書に、特定の相続人の資格について相続を放棄する旨を明示して申述をおこない、相続放棄申述書の記載から配偶者として相続の放棄をしたことを確認することができる。この場合には、被相続人の配偶者として相続放棄をしていても、妹としての相続人の資格により、相続を原因とする所有権移転登記が可能であるということです。
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