遺産分割協議書へは、相続人全員による署名押印が必要です。押印は実印でおこない、印鑑証明書を添付します(登記実務上は、不動産を取得する相続人については認印で良いケースもあります)。
この署名押印は、1枚の遺産分割協議書へ相続人全員がするのが通常です。ただし、相続人が一堂に会しておこなわなくとも差し支えありませんから、1人の相続人が各相続人のもとを訪れて署名押印をもらってきたり、または、郵送などで持ち回ることによるのも可能です。
また、遺産分割協議書は1枚の用紙へ全員が署名押印するのではなく、同一内容の遺産分割協議書を複数作成して各相続人が別々に署名押印したものであっても、相続人全員分が揃っていれば相続登記に使用することができます。
同一内容の遺産分割協議書を数通作成し、それに各自が各別に署名捺印したものであっても、その全部の提出があるときは、遺産分割の協議書とみて差し支えない(登研究170号)。
遠方に住んでいる相続人がいる場合などでは、ご依頼者からの希望に応じて、司法書士から各相続人へ遺産分割協議書を直接お送りすることも可能です。この方法によるときは、事前に遺産分割協議が整っているのが前提条件ではありますが、相続人間で書類のやり取りをする手間を省くことができます。
なお、遺産分割協議書については、上記のとおり各相続人が別々の用紙に署名押印することも可能ですが、銀行や証券会社での手続きに際しては、所定の様式の書類へ相続人全員の署名押印が求められることもあります。その場合、結局は書類を持ち回ることが必要になってしまいますから、事前に手続きをする銀行などへ確認を取っておくべきです。
遺産分割協議をどのような手順で進めていくべきか、疑問な点やご心配なことなどあれば、まずは司法書士にご相談ください。