(2024年8月2日追記)
令和元年7月1日に施行された改正民法により、改正後の規定が適用される相続について、遺留分減殺を原因とする所有権移転登記はすることができなくなっています。
遺留分に関する規定の改正により、「遺留分権利者は、受遺者または受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる」ものとされました(民法1046条1項)。
これにより、民法改正前のように「遺留分減殺請求により、遺留分を侵害する遺贈または贈与の全部または一部に係る権利が、遺留分権利者に移転する」ことはなくなっているからです。
なお、法改正により、遺留分の「減殺請求権」との用語は「遺留分侵害額請求権」に改められています。
以下は、平成30年の民法改正前の規定に基づいて書かれているものです。
遺留分を侵害された遺留分権利者は、遺留分を侵害している相続人(または受遺者)に対して、遺留分減殺請求をすることができます。そして、遺留分を侵害する相続登記がされている場合には、遺留分減殺を原因とする所有権移転登記がおこなえます。
1.相続登記をする前に遺留分減殺請求をしたとき
遺留分を侵害する内容の遺言があったが、その遺言に基づく相続登記(所有権移転登記)をおこなう前に、遺留分減殺請求がなされたとします。この場合、まずは遺言による相続登記をしてから、その後に遺留分減殺による登記をするのではなく、はじめから遺留分権利者に対して相続による所有権移転登記をすることができます。
2.遺言に基づく相続登記が既におこなわれているとき
遺留分を侵害する内容の遺言に基づいて、すでに相続登記がおこなわれているときには、その登記を抹消することなく、遺留分減殺請求による移転の登記をすべきであり、この場合の登記原因は、「平成○年○月○日遺留分減殺」となります。
上記のとおり、遺留分を侵害する登記を抹消したり、または、遺留分減殺請求がおこなわれた結果の持分への更正登記をおこなうことはできません。相続開始時からもともと持分が誤っていたわけではなく、遺留分減殺請求をしたことによって新たに物権変動が生じているからです。
この所有権移転登記(または、所有権一部移転登記)は、遺留分権利者を登記権利者、減殺請求を受けた現在の所有権登記名義人を登記義務者としておこないます。また、遺留分減殺請求の意思表示が相手方に到達した日が、登記原因の年月日となります。
被相続人名義に登記されている不動産について、乙が包括遺贈を受け、その登記前に丙から遺留分減殺請求があった場合、直接、丙のために相続による所有権移転登記をする。また、既に遺贈の登記がなされている場合には、その登記を抹消することなく、遺留分減殺請求による移転の登記をすべきであり、この場合の登記原因は、遺留分減殺とする。(昭和30年5月23日付民事甲第973号民事局長回答)
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