法定相続による相続登記は、法定相続人が2人以上いる場合に、その法定相続分どおりの共有名義で登記するとき、または、法定相続人が1人のみのときにおこないます。これ以外のパターンについては、相続登記の必要書類(遺産分割協議)、相続登記の必要書類(遺言相続)、をご覧ください。
また、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)へのご相談、ご依頼を希望なさる場合、当事務所による相続登記のページもぜひご覧ください。
法定相続による相続登記(目次)
1.必要書類(法定相続による相続登記)
2.どんな場合に法定相続による相続登記をするのか
3.法定相続による相続登記の注意点
1.必要書類(法定相続による相続登記)
相続登記(不動産の名義変更)には多くの書類が必要になります。高島司法書士事務所(千葉県松戸市)へご相談くだされば一からわかりやすくご説明しますから、事前のご準備はとくに不要なのですが、ご参考までに必要書類について解説します。
法定相続による相続登記では、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)などを取得することにより、法定相続人の全員を明らかにする必要があります。そして、法定相続人全員の共有名義に、その法定相続分どおりの共有持分で登記をします。
1-1.被相続人(亡くなられた方)に関するもの
(1) 戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)
被相続人の出生の記載のある除籍(改製原戸籍)謄本から、死亡の記載のある戸籍謄本等に至るまでのすべてが必要です。相続人がご自分で除籍謄本等を取得するのが難しいときには、司法書士にすべておまかせいただくこともできます。
(2) 除住民票(または、戸籍の附票)
被相続人の亡くなられた旨の記載がある住民票(除票)です。住民票除票は本籍の記載を省略しないでください。なお、亡くなられてから5年が経過していると、除住民票が取れないこともあるので、その場合にはご相談ください。
住民票の除票及び戸籍の附票の除票の保存期間が延長されました
住民基本台帳法施行令の一部改正(令和元年6月20日施行)により、平成26年6月20日以降に消除または改製された住民票の除票および戸籍の附票の除票の保存期間が5年から150年に延長されました。ただし、同施行令の施行日が令和元年6月20日であるため、5年前の平成26年6月19日以前に消除または改製された住民票の除票および戸籍の附票の除票については、すでに保存期間が経過しているため、適用の対象外となります。
つまり、現在では平成26年(西暦2014年)6月20日以降に消除または改製された住民票の除票および戸籍の附票の除票の保存期間は150年になっているので、被相続人が死亡したのが平成26年(西暦2014年)6月20日であれば、その後150年間は住民票除票が取得できるわけです。また、戸籍の附票の場合には、被相続人の死亡後でも同籍の存命者がいる限り消除されないので、被相続人の死亡が平成26年(西暦2014年)6月20日より前であっても取得できる可能性があります。
1-2.相続人に関するもの
(1) 戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本が必要です。相続開始後(被相続人の死亡後)に取得したものでなければなりません。同じ戸籍に入っている方については、その全員の分として戸籍謄本1通があれば足り、別々に戸籍謄本を取る必要はありません。
(2) 住民票(または、戸籍の附票)
住民票は本籍の記載を省略しないでください。
1-3.相続する不動産に関するもの
(1) 登記済権利証(または、登記識別情報通知書)
相続登記の申請をする際に、通常は登記済権利証を提出する必要はありません。けれども、相続登記をおこなうべき不動産を確認するため、できる限り登記済権利証(または、登記識別情報通知書)をお持ちいただいております。
(2) 固定資産評価証明書(または、固定資産税の納税通知書)
不動産所在地の市町村役場(東京23区では都税事務所)で取れます。登記申請と同一年度のものが必要です。
相続人により固定資産評価証明書を取る場合、被相続人との関係が分かる戸籍謄本およびご本人確認書類などの提示を求められるはずです。また、登記申請に使う旨を係の人にお伝えください。
なお、固定資産税の納税通知書(不動産の評価額が記載されている課税明細書)をお持ちくだされば、固定資産評価証明書がなくてもお見積もりは可能です。
2.どんな場合に法定相続による相続登記をするのか
法定相続による相続登記では、法定相続人全員の共有名義で、その法定相続分どおりに登記をします。たとえば、被相続人の妻と、長男、長女が法定相続人である場合には、妻が2分の1、長男と長女がそれぞれ4分の1ずつ、3人の共有名義で登記するということです。
法定相続による相続登記では、遺産分割協議書が不要なこともあり手続きが容易です。そのため、相続人全員で不動産を承継することを積極的に選択する場合だけでなく、誰が不動産を引き継ぐかの話し合いが付かない場合に、法定相続による相続登記がおこなわれるケースもあります。
しかし、後になって不動産を売却したり、担保設定などの処分をする際には、共有者全員の合意により手続きをする必要があります(自分の持分のみを売却しようとする場合などを除く)。したがって、結局は問題の先送りに過ぎないこともありますし、共有者に相続が開始すればさらに権利関係が複雑になってしまいます。そのため、法定相続による相続登記をおこなうのは、通常は極力避けるべきだといえます。
3.法定相続による相続登記の注意点
法定相続による相続登記では、共同相続人の1人から単独で登記申請することもできます。つまり、他の相続人が登記手続きに関与しなくても(または、他の相続人が相続登記申請することに同意していなくても)、共有名義に登記をしてしまうことも可能なのです。
しかし、単独申請により共有名義に相続登記をしてしまった場合には大きな問題点があります。それは、相続人中の1人から単独申請した場合、申請人となった相続人のみにしか登記識別情報通知が発行されないことです。この場合、他の相続人は所有権の登記名義人にはなるものの、登記識別情報通知の交付を受けることはできないのです。つまり、相続登記が済んでいても、登記済証(権利証)やそれに代わるものが存在しないわけです。
登記識別情報通知は、かつての登記済証(権利証)と同様に、不動産売買や担保設定などによる登記申請の手続きをする際に必要なものです。登記識別情報がなくても所有者(共有者)であることに変わりはありませんが、本人確認情報の作成などに余分な手間や費用がかかることになります。
よって、法定相続分どおりの登記をする場合であっても、どうしても他の相続人の協力が得られないような場合を除いては、法定相続人の全員が登記申請人になる(または、司法書士への委任状に署名押印する)ことが必須だと考えるべきです。
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