不動産の相続登記をするときには、司法書士に依頼して手続きをおこなうのが通常ですが、相続人がご自分で法務局に行って登記申請の手続きをすることも可能です。
この記事では、まず最初に「相続登記は自分でできるのか」について書いています。それに続いて、司法書士に依頼せず「相続人がご自分で相続登記をする場合でも必ずかかる費用」についてご説明します。
さらに、「司法書士に相続登記を依頼する場合にかかる費用」についても解説しているので、相続登記をまずは自分でやってみるのか、または、最初から司法書士に相談した方が良いのかの判断に役立つかと思います。
なお、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)では、相続登記についての初回無料相談およびお見積もりをうけたまわっています。ご相談は予約制なので、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧になって事前にご連絡くださいますようお願いします。
最初に(相続登記は自分でできるのか)
法律上は、相続人がご自分で相続登記をすることも可能ですが、不動産登記についての知識や経験のない方がご自分で手続きをするのは、かなり大変である場合が多いと思われます。
そこで、ご自分で相続登記をしてみようとお考えの場合、法務局による案内ページ(不動産を相続した方へ~相続登記・遺産分割を進めましょう~)を見るなどして、自分でできそうかをまず判断するのがよいでしょう。
上記の法務局による案内ページなどを見ても、何をどうやったら良いのか分からないと思ったような場合には、ご自分で相続登記をするのは難しいといえます。
なお、ご自分で相続登記をしようとする場合、法務局による「登記手続案内」を利用することもできます(千葉地方法務局による登記手続案内のページはこちら)。
ただし、登記相談ではなく、あくまでも「登記手続案内」なので、法務局へ相談に行けば誰でも相続登記ができるということではありません。
つまりは、法務局での登記手続案内を利用しても、結局は上記のページに書いてあるようなことを案内されるだけなのであり、法務局へ行ってみれば何とかなるというものではないということです。
かつて法務局で実施されていた「登記相談」では、申請書の書き方を具体的に教えてくれ、言われたとおりに申請書を書けば、それで無事に登記が完了するような相談もおこなわれていたようです。
実際、「前に相続登記をしたときは家族の方が法務局へ行って自分で手続きした」とか、「近所の人から相続登記は登記所で相談すれば自分でできると言われた」というようなお話しを、当事務所に依頼したご相談者から伺うこともあります。
しかし、現在では、登記相談ではなく「登記手続案内」に変わっていますから、法務局では申請書の見本などを貰うことはできても、個々のケースに応じた具体的な記載方法を教えて貰うようなことはできないわけです。
このように法務局での対応が変更になったこともあって、「法務局へ相談に行ってみたけれども、自分で相続登記をするのは難しそうなので、やはり司法書士に相談することにした」という方が増えていることは、当事務所においても実感しているところです。
相続登記にかかる費用(登録免許税などの実費)
法務局で相続登記をする際にかかる費用のうち、金額が大きいのは登録免許税です。
相続登記(相続を原因とする所有権移転登記)にかかる登録免許税の金額は、不動産の固定資産評価額の0.4%(1000分の4)となります(不動産の価額が100万円以下の土地についての免税措置など、相続に係る所有権の移転登記の免税についてはこちら)。
たとえば、不動産(土地と建物)の固定資産税評価額が合計500万円ならば登録免許税の額は2万円、1000万円ならば4万円の登録免許税がかかります。
この登録免許税の他に、法務局での相続登記にかかる費用としては、登記申請の前後に取得する登記事項証明書(かつての、登記簿謄本)の交付請求の際に支払う手数料があります。
法務局の窓口で登記事項証明書の交付を請求する場合の手数料は不動産1つあたり600円なので、土地と建物1つずつの場合、登記事項証明書を交付してもらうための手数料は1200円です。
したがって、土地と建物の固定資産税評価額が合計1000万円の場合、相続登記にかかる費用は次のとおりとなります。
・登録免許税 40,000円
・登記事項証明書 600円×4=2,400円(土地、建物の各1通ずつを登記申請の前後に取得)
・合計42,400円
この他に、戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本、住民票(除票)、印鑑証明書などの必要書類取得にも費用がかかりますが、法務局で相続登記をする際にかかる費用は上記の42,400円が総額となります。
固定資産税評価額がもっと高額な場合には、登録免許税がもっとかかるとしても、「自宅の相続登記を自分でするならば、思ったより費用がかからない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
相続登記の司法書士費用
相続登記を司法書士に依頼した場合でも、ここまでご説明した登録免許税と登記事項証明書の取得にかかる実費は原則として違いはありません。
登記事項証明書を法務局の窓口で申請せず、オンラインで申請した場合には手数料が480円に安くなるなどの違いはありますが、登録免許税については、司法書士に依頼してもご自分で登記申請をしても金額は同じです。
よって、相続登記を司法書士に依頼する場合、ご自分で登記手続きをした場合にもかかる登録免許税などの実費に加えて、司法書士に支払う費用(司法書士報酬)がかかることになるわけです。
この相続登記の司法書士報酬は、法律などで一律に定められているわけではなく、各司法書士事務所が独自の報酬設定をおこなっています。
また、同じ司法書士事務所に相続登記を依頼した場合でも、登記する不動産の個数や評価額、その他様々な条件により費用が変わってくるため、事前に一律の報酬額を設定しお伝えすることは不可能です。
ただし、土地と建物の固定資産税評価額が合計1000万円くらいまでの、一般的なご自宅についての相続登記を、高島司法書士事務所(千葉県松戸市)にご依頼いただいた場合、司法書士報酬は7,8万円程度になるのが通常です(遺産分割協議による相続登記の場合)。
固定資産税評価額が合計1000万円の場合の登録免許税は4万円なので、司法書士報酬とあわせた費用の総額は12万円程度となるわけです。
この司法書士報酬には、法務局での相続登記の手続きだけでなく、遺産分割協議書など必要書類の作成報酬も含まれています。
そして、ここで説明している司法書士費用は、日本全国どこにある不動産の相続登記であっても変わりありません。
相続登記の申請はオンラインによりおこなうことができるので、日本全国どこの法務局への登記申請であっても追加料金などをご請求することはないのでご安心ください。
たとえば、遠方にあるご実家の相続登記であっても、千葉県松戸市の高島司法書士事務所へご依頼いただけますし、現地の司法書士に依頼するのに比べて追加費用がかかるということもございません。
繰り返しになりますが、高島司法書士事務所(千葉県松戸市)に相続登記をご依頼いただいた場合にかかる費用は、上記のようなご自宅についての相続登記であれば総額でも12万円程度で済むのであり、それ以外の費用はかかりません。
なお、相続登記だけでなく、預貯金の相続手続きもあわせてご依頼いただいたり、戸籍等の取得を当事務所で代行する場合には、そのための費用が別途かかりますが、すべてご依頼いただく前にご説明します。
司法書士からの請求額が高いと思った場合
相続登記にかかる費用(司法書士報酬)は、依頼する司法書士事務所によって異なります。
そのため、相場よりも費用が高額な司法書士が存在するのは事実であるとしても、司法書士報酬と実費(登録免許税など)を合わせた総額を見て、司法書士費用が高いと勘違いされている場合も多いようです。
登録免許税は法務局で登記申請をするときに、申請書に収入印紙を貼るなどして納付する必要があります。
そのため、司法書士に相続登記を依頼した場合、司法書士事務所から発行される請求書には登録免許税の相当額も含まれているものとなります。
不動産の固定資産評価額が高額な場合には、登録免許税も高額となります。たとえば、相続登記をする際に、固定資産税評価額の合計が1億円なら登録免許税は40万円です。
この場合、司法書士報酬が10万円、登録免許税が40万円ならば、司法書士事務所からの請求額は50万円となります。しかしながら、司法書士に入る報酬はあくまでも10万円のみなのであり、40万円は登記申請時に登録免許税として納付するものです。
司法書士の費用が高いと思ったときには、司法書士報酬と実費の内訳を確認するようにしてください。そして、司法書士報酬が妥当な金額であるかどうかを確認してから依頼するかどうか判断することをお勧めします。
必ず事前に見積もりしてもらいましょう
相続登記をするには何十万円もかかると思っている方も多くいらっしゃるようですが、ここまでご説明してきたとおり、一般的なご自宅についての相続登記であれば、そのような費用がかかることは通常ありません。
それでも、司法書士事務所であっても費用が大きく変わってくる可能性もあるので、相続登記を司法書士に依頼しようとする場合は、正式に依頼する前に必ず見積もりをしてもらうようにしましょう。
この見積もりは、司法書士費用と、登録免許税やその他の実費の内訳も分かるようなものでなければなりません。
手続きを進めてみなければ最終的な費用総額が確定しない場合であっても、費用の計算の仕方を示した上で概算の見積もりをすることは可能です。
詳しい見積もりをしてくれなかったり、費用についての説明を拒むようなところには依頼すべきではないでしょう。
相続登記は最初から司法書士にご相談ください
相続登記にかかる費用を検討するうえで大切なのは、専門家に依頼する場合であっても、無駄に余計な費用を取られないように気をつけるということです。
そこで確認しておきたいのは、相続登記の相談をする際に選ぶべき専門家は司法書士の一択だということです。
法務局での相続登記手続きをおこなえる専門家は司法書士と弁護士に限られます(ただし、相続登記のみを専門的に取り扱っている弁護士はほとんどいないと思われるので、現実的には「相続登記の専門家は司法書士のみ」と申し上げても差し支えないでしょう)。
司法書士に依頼すれば相続登記に必要な手続きのすべてをおこなえるのが通常であり、たとえば、行政書士に遺産分割協議書の作成を依頼した場合であっても、法務局での相続登記の手続きは司法書士に依頼する必要があります。
よって、相続登記をする場合に、司法書士以外の専門家(行政書士、相続関連のコンサルタントなど)へ事前に相談したとすれば、その専門家の費用もかかるので、総額ではもっと費用がかかってしまう可能性が高いのでご注意ください。
相続登記の手続きに関連して、司法書士以外の専門家にも相談する必要があるケースは次のようなケースに限られます。
- 相続人の間に争いが生じており、話し合いがまとまらない(または、相続人全員による話し合いができない)。
- 相続税がかかる場合であって、遺産分割協議をするのにあたり相続税についての検討が必要である。
上記以外の場合では司法書士に依頼すればすべての手続きをおこなえるのが通常ですし、もしも、他の専門家への相談が必要だと判断するときには、司法書士が最初にお話を伺った際にご案内をします。
したがって、相続登記のことならば、最初から司法書士にするのがベストなのであり、他の専門家へ先に相談する必要は一切ありません。
最後に宣伝になりますが、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)では、相続登記の費用についての無料見積もりをいつでもうけたまわっています。
初回相談およびお見積もりだけであれば費用はかかりません。相談終了後に紙の見積書をお渡ししていますから、当事務所へ依頼するかどうかは、ご自宅に持ち帰ってご検討いただけます。
ご相談は予約制なので、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧になって事前にご連絡くださいますようお願いします。
また、高島司法書士事務所(千葉県松戸市)による「相続登記のご案内」のページもぜひご覧ください。
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