最後の2文字が同じ「書士」であるためか、「司法書士と行政書士の違いが分からない」とか、「司法書士と行政書士は同じようなものだろう」などと思っている方もいらっしゃるでしょうが、司法書士と行政書士がおこなえる業務は大きく異なります。
相続登記その他の不動産登記
まず、「登記関する手続についての代理や、法務局提出する書類の作成」は司法書士の独占業務です。
よって、相続登記などの不動産登記(権利の登記)について相談、依頼するならば、司法書士の一択となります。行政書士に相続登記の相談をしても、手続きの依頼をすることは出来ません。
上記が結論ですので、「相続登記やその他の不動産登記手続きについて相談するときに選ぶべきは司法書士のみ」となります。
行政書士に依頼できる相続手続きはあるのか
令和6年4月1日からの相続登記義務化を控えて、相続登記の相談についての宣伝をしている行政書士もいるようですが、行政書士に相続登記の相談をしても意味がありません。
行政書士が行うとする、戸籍謄本などの取得による相続人の確定、相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成などはすべて司法書士が通常業務としておこなっているものです。
最初から司法書士に依頼すれば、費用も時間も節約できるのであり、事前に一部分の手続きのみを行政書士に依頼した場合、費用も時間も余計にかかる可能性が極めて高いです。
なお、行政書士などが作成した遺産分割協議書や相続関係説明図がある場合でも、司法書士はそれらの書類をそのまま利用することはありません。司法書士以外が作成した書類については、登記申請に利用するのにあたって記載内容をすべて確認する必要があるので、作成済みの書類を持ち込めば費用が安くなるということにもなりません。
行政書士の業務は何があるのか
行政書士の業務については、法律により「他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類を作成することを業とする」と定められています(行政書士法第1条の2第1項)。
ただし、「官公署に提出する書類」であっても、「その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない」との規定があるので、法務局に提出する書類の作成を行政書士が行うことはできません。
また、「裁判所もしくは検察庁に提出する書類の作成」も司法書士法に定められた司法書士業務ですので、行政書士が裁判所に提出する書類の作成をすることはできません。
相続関連業務でいえば、相続放棄の手続きについて行政書士に相談しても、裁判所に提出する相続放棄申述書の作成を行政書士が行うことはできません。したがって、行政書士に相続放棄の相談をしても意味がないといえます。
行政書士の専門分野としては官公署に対する許認可の申請があります。許認可申請は行政書士の業務であり司法書士が行うことはできません。
ただし、一般の方の相続手続きにおいて許認可申請が絡むということはないでしょうから、相続登記やその他の相続手続きの相談を行政書士にすべき場合は通常ありません。
相続手続きの相談は司法書士へ
相続手続きをする際に専門家に依頼する必要が通常あるのは、相続登記(不動産の名義変更)、預貯金や有価証券(株式、投資信託など)の相続手続きや、それらの手続きに必要な戸籍などの取得、遺産分割協議書の作成などとなります。
これらの手続きはすべて司法書士にご依頼いただくことができるので、相続手続きではまず最初に司法書士にご相談いただければ必要な手続きのすべてが行えるのが通常です。
司法書士以外に相談する必要がある場合としては、主に次のようなケースがあります。
- 相続税に関する税務署への申告が必要であり、税理士に相談や依頼をすべき場合
- 相続人間に争いが生じていたり、話し合いが出来ない相続人がいるため、弁護士に相談や依頼をすべき場合
司法書士以外に相談や依頼が必要な場合でも、まずは司法書士にご相談いただければ、必要に応じて適切な専門家をご案内します。
ここまで書いてきたとおり、相続手続きにおいては、司法書士、税理士、弁護士以外の専門家へ相談すべき場合は通常ありませんのでご注意ください。
千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅徒歩1分)では、2002年2月の事務所開業から20年以上の長期にわたり、ホームページやブログをご覧になってお問い合わせくださった、個人のお客様からの相続登記やその他の相続手続きのご相談を多数うけたまわってまいりました。
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